2006年11月24日(金)「しんぶん赤旗」
療養病床 削減で県経済250億円減
日銀高知支店が試算
地域への影響裏付け
療養病床削減は高知県の経済を約二百五十億円も減少させる――日本銀行高知支店がこのような試算をまとめました。医療改悪法(六月成立)にもとづく療養病床削減による患者追い出しが、地域経済にまで影響を与える恐れがあることを示しています。
同支店の試算は、「高知県の医療について」(十一月発表)と題するリポートで支店のホームぺージで紹介されています。厚生労働省の削減計画にもとづくと、高知県では約五千床が削減されることが想定されています。同支店が五千床純減のケースだけで機械的に計算したところ、年間八千五百五十六人が療養病床を利用できなくなり、医療費は年間二百四十七億五千万円減少。この金額は、県内総生産(約二兆三千七百六十三億円)の約1%にあたる、としています。
リポートでは、「医療業」の生産額は千七百億円弱(二〇〇三年度)で県内総生産の6・8%(製造業は10・5%)と大きな比重を占めていることも指摘しています。
また、県内の六十五歳以上単独世帯数は今後も増える可能性がある一方、老人ホーム定員数が全国平均を下回っていることなど、「受け皿」整備がすすんでいないことを記述しています。
厚労省は、全国に約三十八万床ある療養病床を二〇一二年三月までに約十五万床に削減する計画をすすめています。この計画が、長期入院のお年寄りを病院から追い出して「医療難民」「介護難民」を大量に生み出すだけでなく、地域経済にとっても深刻であることを裏付けています。