2006年11月23日(木)「しんぶん赤旗」

反シリア派閣僚殺される

ヒズボラも事件批判

レバノン


 【カイロ=松本眞志】レバノンのピエール・ジュマイエル産業相が二十一日午後、首都ベイルート郊外で武装グループによって暗殺されました。乗車中に警護員とともに銃撃を受け、病院に運ばれましたが、まもなく死亡しました。

 ジュマイエル氏は、アミン・ジュマイエル元大統領の息子。マロン派キリスト教徒でシニオラ政権で多数を占める反シリア派の一人です。

 今回の事件は、反シリア派と、ヒズボラとアマルの親シリア派のイスラム教シーア派政党との間で、政権運営をめぐる対立が高まるなかで起きました。

 十三日に同政権が臨時閣議でハリリ元首相暗殺を裁く国連の国際法廷設置案を採択した際に、その手法に反対してヒズボラやアマルの閣僚ら六人が辞任。ヒズボラのナスララ師は反政権キャンペーンを呼びかけるなど政治的な緊張状態が続いていました。

 キリスト教徒が多いベイルートのアシュラフィエ地区では、若者たちが事件に抗議し、タイヤを燃やしたり窓ガラスを壊すなどの暴動が起き、治安部隊が出動する場面もありました。

 シニオラ首相は「暗殺はわれわれを脅すことはできない。いまはすべてのレバノン人が団結するときだ」と国民に冷静な対応を呼びかけました。

 ヒズボラ側も、暗殺行為をレバノンを再び内戦(一九七五―一九九〇年)に導こうとする企てだと批判しました。

 シリアとイランは今回の事件を非難。シリアのモフセン・ビラル内相は、シリアに対する非難の声に対して、「信頼性のかけらもない」と述べ、シリアの事件への関与を否定しました。


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