2006年11月23日(木)「しんぶん赤旗」

主張

教基法参院審議

世論ひろげ成立を阻止しよう


 教育基本法改悪案が参院特別委員会で審議入りしました。衆院では審議がつくされないまま、自民党、公明党が数の力で与党単独採決を強行しました。世論調査をみても多くの国民が今国会での成立を望んでいません。じっくりと慎重に審議し、国民の前で問題点を明らかにしてほしいというのが、国民多数の声です。

「人格の完成」削るのか

 「やらせ質問」など政府・文部科学省の法案提出者としての資格にかかわる問題をほおかむりしたままでの強行採決に、マスメディアも「なぜそんなに急ぐのか」と疑問を出しています。

 いじめ自殺や未履修の問題をはじめ、教育現場の“荒れ”やゆがみに正面から向き合い、それを解決することこそ真っ先にやるべきことなのに、それへの方策が、政府・与党にはありません。国民が心を痛めている問題に政府が打開策を示せないもとで、教育の根本法である教育基本法に手をつけるなど、絶対にあってはならないことです。

 重大なのは、教育基本法が改悪されたら、いじめ自殺や未履修の問題は解決するどころか、さらに深刻な事態を招く危険があることです。

 日本共産党の井上哲士議員が安倍首相に質問したのは、義務教育段階での未履修問題と教育基本法改悪とのかかわりです。

 教育基本法改悪後に、政府が進めるのは全国一斉学力テストと学校選択制の全国的展開による競争とふるいわけです。

 実際、一斉学力テストと学校選択制がセットで行われている東京都のある区の中学校では、学校間競争のため、子どもの成長に重要な行事・特別活動が廃止・削減されています。

 こんな事態が広がることが「人格の完成」にとって好ましいことなのかとの井上議員の質問に、安倍首相は、遠足など大切な教育の機会が「学力テストの補習のためになくなることはいいことではない」と答えました。

 教育基本法を改悪し、競争をあおることは、「人格の完成」をめざすという教育の目的をゆがめ、子どもたちと学校に深刻な事態をもたらすことが明らかになりました。

 中学校でも未履修が発覚し、関係者は“入試対策のため”だと説明しています。競争教育をあおると、義務教育段階の未履修が拡大する危険は否めません。

 衆院の審議では、教育基本法改悪案がもつ二重の憲法上の大問題が明らかになっています。国家が「愛国心」を強制することは、憲法一九条に保障された思想・良心・内心の自由に反することと、国家が教育内容に無制限に介入することは憲法の諸条項が定めた教育の自由と自主性に反するという点です。東京都での「日の丸・君が代」の無法な強制が、憲法一九条と教育基本法一〇条に反するという、東京地裁の判決を踏まえた論議を、国会としてもつくす必要があります。

徹底審議のうえ廃案に

 審議はまったくつくされていません。衆院での与党単独の強行採決という暴挙は、政府・与党が追い詰められた結果です。“教育基本法を守れ”の声は、日増しに高まっています。

 「(現行法を)何度、読み返しても改正の必要性はあるまい」(神奈川新聞社説二十一日付)というのが、良識ある国民の思いです。

 全国津々浦々から、教育基本法改悪許すなのたたかいを発展させ、この悪法の成立を阻止するためにがんばりましょう。


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