2006年11月22日(水)「しんぶん赤旗」

アフガン支援にインド懸命

経済発展へ天然ガス確保


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(写真)アフガン地域経済協力会議第2回会合に出席したアフガンのカルザイ大統領(前列左から2人目)とインドのシン首相(その右隣)=18日、ニューデリー(豊田栄光撮影)

 【ニューデリー=豊田栄光】旧タリバン政権勢力の復活で国家再建に黄色の信号がともるアフガニスタン。国際社会の支援なしにはもたないカルザイ政権を懸命に支援しているのがインドです。

 十八、十九日にはニューデリーで、アフガン地域経済協力会議の第二回会合が開催されました。インドとアフガンが共同議長を務め、近隣諸国、日米中英ロなど十八カ国と、国連や世界銀行など十の国際機関の代表が集いました。

 会合では、資金援助の新たな枠組みなど具体的なことは決まりませんでした。会合の終了をまたずにニューデリーをたつ代表もいました。経済協力の重要性を一般的に強調した「宣言」を発表して閉幕しました。

 インドのシン政権にとって、南アジアの近隣諸国との外交関係はあまりうまくいっていません。シン首相が「失敗国家が地域の脅威になっている」といった発言をして物議をかもしたこともあります。首脳の相互訪問が実現しているのはアフガンだけです。

 インドは道路再建など多くの支援をアフガンで行っています。工事に従事するインド人労働者が殺害されたり、タリバン勢力に誘拐される事件がしばしば起きています。国内からは「治安が回復するまでアフガンから手を引け」といった声もでています。

 会合終了後の記者会見でインドのムガジー外相は、「テロ組織がインド人を襲撃するのは、アフガンからインドを追い出すためだ。そんな圧力には屈しない。インドのアフガン再建の立場は依然として強固だ」と語りました。

 インドのアフガン支援について、ニューデリーの外交筋は「TAPIが最も強い動機だろう。アフガンの安定なしにTAPI実現はない」と語ります。

 「TAPI」とは、トルクメニスタンの天然ガスをアフガン、パキスタンを経由してインドに供給するパイプライン計画のことです。

 インドは経済発展を続けるためにエネルギー資源の確保に懸命です。イランやミャンマーからの天然ガス輸入を進めています。

 会合の冒頭で演説したシン首相が、会議のテーマについて一般論ではなく、具体名をあげた唯一のものがTAPIでした。「宣言」にもTAPIが「安全保障の改善と経済全体の利益を促進する」との文言が盛り込まれました。


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