2006年11月22日(水)「しんぶん赤旗」
主張
官製談合続発
「オール与党」の政治にメスを
福島、和歌山での前知事らの逮捕に続いて、宮崎でも知事のかかわる談合疑惑に捜査の手がのびる―地方自治体が発注する公共事業での官製談合が相次いで発覚しています。全国で四十七人しかいない知事のうち三人が同じ時期に談合問題で追及されるという異常事態です。知事以外でも、宮城県で町長が逮捕されるなど、公共事業発注にともなう事件があとを絶ちません。
一連の事件を徹底追及し、関係者を厳罰に処するのは当然ですが、同時にこうした官製談合を生む政治の土壌にメスを入れるべきです。
国民の税金が食い物に
一連の官製談合の構図は驚くほど似通っています。
福島の事件では、県発注のダム工事をめぐり、前知事が実弟を使い土地を高値で買わせる形で賄賂(わいろ)を受け取り、ゼネコンに請け負わせていたことが収賄罪に問われました。和歌山の事件では、県のトンネル工事や下水道工事で、知事が県の出納長を使って、選挙で知事を応援した建設業者への発注に便宜を図っていました。賄賂は民間人の仲介者を通じて、知事の手元に流れていました。
設計業者との癒着が発覚した宮崎の事件も同様です。すでに土木部長など県の幹部が逮捕されていますが、知事自身にも「調整役」の元国会議員秘書の会社社長を使って談合に関与した疑惑が浮上しています。知事は県議会で、「福島や和歌山とは違う」と事件への関与を否定していますが、徹底的な究明が必要です。
いずれの談合も、国民の税金でまかなわれる自治体の公共事業をめぐり、建設業者が高値で受注して法外な利益を確保しようとし、知事らがそれに便宜を与え賄賂を手にしたものです。法外な利益も賄賂も出所は県民・国民の税金であり、税金を食い物にした卑劣な犯罪は、きびしく指弾されなければなりません。
自治体が発注する不要不急の公共事業と、それにたかる建設業者の談合体質は、官製談合の温床です。税金を浪費する無駄な公共事業の実態と、建設業者との癒着の温床となっている不明朗な入札制度には根本的なメスが入れられるべきです。官製談合の続発は、公共事業や入札制度の見直しで、やるべき課題がまだ多いことを浮き彫りにしています。
同時に直視しなければならないのは、知事などの県政私物化であり、県議会などでの「オール与党」体制がそれを許している実態です。
地方政治は、同じように選挙で選ばれる知事と議会が監視しあってこそ、住民に開かれた、住民本位の政治を実現できます。福島も和歌山も日本共産党以外「オール与党」の体制が続いており、宮崎では県議会に日本共産党の議員がいません。監視役としての役割を果たさなかった日本共産党以外の各党の責任はきわめて重大なものがあります。
腐敗の土壌を正すには
日本共産党は県民の立場に立った唯一の野党として、福島でも和歌山でも、官製談合追及の先頭に立ち、腐敗の温床を取り除くために無駄な公共事業をやめ、入札制度を抜本改善するよう求めてきました。こうした日本共産党が各地の議会で大きく議席を伸ばしてこそ、「オール与党」体制を突き崩し、議会が住民の立場に立った県政の監視役としての役割を果たすことができます。
「オール与党」体制の害悪を広く国民に告発し、官製談合を生む政治の土壌を根本から変えていくことこそ、腐敗を根絶するもっとも確実な道です。