2006年11月21日(火)「しんぶん赤旗」

生活保護受けられず自殺 函館の男性

「市役所に3回相談したのに」

共産党調査申し入れ


 生活保護の申請権侵害が常態化しているなか、北海道函館市に生活保護を相談していた、同市大森町の秋口昭司さん(49)が、自宅で首をつり、亡くなっているところを十五日、大家さんに発見されるという痛ましい事件がありました。日本共産党の前川一夫道議と函館市議団(高橋佳大団長)は二十日、井上博司市長に、事実の調査と、このような事件が今後起きないよう、法律にもとづき親身な生活保護行政を行うよう、緊急に申し入れました。

 対応した岡田芳樹福祉部長らは、事実を調べたいと答えました。

 秋口さんは三年前、勤務していたホテルの経営陣の交代を機に失業。警備会社に就職したものの、体調がすぐれず、すぐに退職。その後、別のホテルに就職できたと喜んだのもつかの間で、ホテルの経営が傾き、解雇されていました。

 遺族の話によると、秋口さんが相談のために市役所を訪れたのは計三回。今年一月、秋口さんは「若いのだから仕事を探しなさい」と言われ、九月か十月には、「病院に行って診断書をもらってきなさい」と言われ、保護申請を受理してもらえず家に帰されたといいます。

 一方、函館市は、秋口さんは五月に一度来ただけで、その際、求職活動を行い、それでも生活に困窮するようであれば再度来所すること、体調が悪ければ無料低額診療施設もあることなどを伝えたとしています。保護申請の意思確認は、行っていなかったようです。

 前川道議と丸尾りゅう子市議、函館生活と健康を守る会事務局長の葛西幹男さんらは十八日、遺族を見舞いました。

 秋口さんの遺族は、「仕事もお金もない人に、どうやって病院に行けというのでしょうか。もっと、ていねいで親切な対応があれば、少なくとも自ら死を選ぶようなことはなかったはず」と話していました。


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