2006年11月21日(火)「しんぶん赤旗」

沖縄知事選 結果

県民は新基地認めていない メディアも指摘

糸数氏31万票、大健闘

たたかい これから


 19日投開票の沖縄知事選挙で、日本共産党を含む野党五党が推薦した糸数慶子氏が約31万票を獲得、大健闘しました。敗れたとはいえ、沖縄での米軍新基地建設反対を正面に掲げた糸数氏が互角のたたかいに持ち込んだ意味は深く、重いものがあります。

 (知事選取材団=小泉大介、佐藤高志、前田泰孝、沖縄・浅野耕世)


大接戦だった 

 「大変厳しい選挙だった」

 仲井真弘多氏の選対本部長を務めた稲嶺恵一知事は十九日深夜の会見で、自民・公明の推す仲井真氏が約三万七千票差まで迫られた結果を振り返りました。

 稲嶺氏は、名護市辺野古沿岸での米軍新基地建設問題について「仲井真さんは現行のV字形案には明確に反対をいっている。県民の声を十分に聞いて対応してくれると思う」といわざるを得ませんでした。

 仲井真選対のある幹部も一夜明けた二十日、次のようにいいました。

 「選挙結果が、県民の基地容認の意思を示していると思ったら大きな間違いだ。基地問題の対応はこれからが本当に厳しくなる。経済政策でも、できもしないことをいって勝ったということだ」

真意見誤るな

 全国の注目を集めた今回の知事選で、野党五党と糸数氏は立候補にあたり、「知事選挙に臨む基本姿勢と組織協定」で合意。その五項目の第一に、米軍再編による名護市での米軍新基地計画を許さないことを掲げました。亜熱帯気候の沖縄の特性をいかし、基地にたよらない自立した産業・経済の振興をはかること、憲法九条を守り、教育基本法改悪を許さないことでも一致しました。候補者はもちろん、五党が最後までこの政策で一致し、有権者に訴え抜きました。

 これにたいし「県内移設」を容認する仲井真候補は、辺野古沿岸案で「現行の案では賛成できない」としつつも、これを最大争点にすることを最後まで避けました。経済問題では、県民福祉を後退させ県経済を悪化させてきた現県政の「継承」を掲げながら、「失業率を本土並みに半減させる」など県民をあざむく態度に終始しました。政策では勝負にならない自・公陣営は、本土から二百人といわれる国会議員を動員し、異常な企業・団体ぐるみ選挙で労働者を締め付けました。

 公明幹部は終盤、糸数候補の国会時代の活躍にたいし事実に反するデマ宣伝までしました。

 高市早苗沖縄担当相が“基地建設が進まなければ経済振興策はない”と語ったように、県民への脅しまで使っての相手候補の「勝利」は深刻な矛盾をはらんでいます。

 地元紙は二十日付「社説」で指摘します。

 「政府が、選挙結果を『米軍再編へのゴーサイン』と受け止めたとしたら、県民の真意を見誤ることになる」「普天間飛行場の『国外移転』を訴えた糸数氏が三十万票を集めたことも軽視できまい」(「琉球新報」)

 「基地についてはむしろ『新基地は造らせない』という糸数氏の主張が一定の支持を集めたのは確かで、仲井真氏の基地政策がそのまま容認されたと見てはなるまい」(「沖縄タイムス」)

 仲井真氏の当選は、新基地建設推進にお墨つきを与えたものではないのです。

 実際、読売二十日付が報じた出口調査(六千人余対象)でも、仲井真氏に投票した有権者のうち、「普天間移設の政府案」=新基地建設案に賛成するとしたのは38%で、反対は49%にも上りました。

革新共闘の力

 今回、糸数氏の出馬表明が仲井真氏に比べ一カ月遅れるという不利な条件にありましたが、日本共産党、社民党、沖縄社会大衆党、民主党、自由連合沖縄の五党は団結して、政策中心の選挙を貫きました。

 糸数氏は、十九日深夜の会見で、「野党はしっかりまとまって頑張った。感謝したい」と語り、糸数選対の島袋宗康本部長は「革新共闘がどれだけすばらしいものであるかをみんなで協力しあって県民に広げたい」と語り、「ここまで肉薄できたのは、基地を造らせない県民の思いが結集したから」と強調しました。

へこたれない

 糸数氏を支持した人たちも「へこたれないぞ。今からが、新基地をつくらせない第二のスタートだ」と語ります。

 糸数選挙事務所で開票を見守っていた那覇市の女性は、涙声でいいきりました。

 「(仲井真陣営の企業ぐるみ選挙の)圧力を前に、相手候補に入れざるを得なかった人が多かった。そのことを思うと胸が痛みます。国にものを言える沖縄にしたかったが、それでも、相手のあれだけの動員のなかで三十一万票を取った意味は大きい」

 「くやしい結果になりましたが、やるべきことは変わりません」。こうきっぱり語るのは、名護市辺野古沖への基地建設に反対する座り込みの先頭に立ってきた牧師の平良夏芽さん。「私たちはこれまでも、基地を受け入れる県政のもと、新基地の建設を阻止してきました。最後には必ず勝利できると確信しています。今後は基地を拒絶したときにこそ、本当の経済振興があるという真実を伝える努力もしていきたい」


 沖縄県知事選開票結果

 仲井真 弘多(67)
   347303
  (推薦=自民党、公明党)

  糸数 慶子(59)
   309985
  (推薦=日本共産党、沖縄社会大衆党、社民党、民主党、自由連合)

  屋良 朝助(54)
   6220


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