2006年11月21日(火)「しんぶん赤旗」
「イラク戦争 軍事的勝利は不可能」
キッシンジャー米元国務長官語る
英BBC
【ワシントン=鎌塚由美】ブッシュ大統領やチェイニー副大統領に対外政策で助言してきたキッシンジャー元国務長官は十九日、英BBCテレビに対し、イラク戦争で米国が勝利するのは「不可能だ」と語りました。米メディアがいっせいに伝えました。
同氏は、イラクで「内戦や宗派間の暴力を制圧する」という「明確な軍事的勝利」は「不可能だ」と言明しました。
同氏はイラク問題の国際化を呼びかけ。「(イラクの)近隣諸国を関与させる国際会議を呼びかけるべきだ」と主張しました。「国連安保理常任理事国やインドやパキスタン」も含めて解決策を見いだすべきだとの考えを示しました。
BBCのインタビューに先立ちキッシンジャー氏は、米紙ロサンゼルス・タイムズにもイラク問題で語っています。同紙十九日付(電子版)によると、同氏はブッシュ政権が主張してきた“イラクでの民主主義の確立”にもはや固執せず、「原理主義的なジハーディスト(イスラム教の聖戦主義者)政権」の出現を阻止するという、より限定された目標に集中すべきだと主張しました。
同氏は、ベーカー元国務長官らが「イラク研究グループ」として近くイラク政策の提言を行うことに関し、「われわれは非常に困難な状況に置かれている。なぜなら内戦の最中で暴動とたたかっているからだ。疑いの余地なく、重大な間違いが犯されたが、それを言っても今は何の助けにもならない」と語りました。