2006年11月20日(月)「しんぶん赤旗」

主張

都知事豪華外遊

これで我慢がいえますか


 都民のくらしの厳しさをよそに、超豪華海外出張をくりかえす石原慎太郎東京都知事に、誰もが強い憤りを覚えることでしょう。

 日本共産党都議団が石原知事の就任から七年間、十九回の海外出張の実態を告発しました。「目的の点でも、費用の点でも、とうてい都民の理解を得られない」(都議団)、とんでもない税金の無駄づかいです。

中身の多くは私的観光

 海外出張先では、クルージング、オートバイレース見物や美術館見学と物見遊山にあけくれ、飛行機もホテルも最高級の贅沢三昧(ぜいたくざんまい)。条例の規定を何倍も上回る出張費用がつかわれ、判明した十五回分の総額は二億四千四百万円にのぼります。近隣自治体の知事とくらべてもけた違いの高額です。同行した妻の旅費まで税金で払わせたといいます。

 出張の目的もはっきりしません。二〇〇一年六月の都議選中に行ったガラパゴス視察にいたっては、知事自身が「(都議選の応援が)めんどうくさいからガラパゴスに行っていた」と言う始末です。こんな私的な観光旅行に巨額の公費がつぎこまれています。

 石原知事は就任直後に「なにが贅沢かといえば、まず福祉」とのべ、シルバーパスや老人医療費助成、老人福祉手当など都独自の福祉施策を次々切り捨てました。「都財政は厳しい」と都民に我慢を強いながら、大型開発は温存・拡大する「逆立ち」都政です。その上、知事のためなら巨額の税金を大盤振る舞いというのでは、「なにが贅沢か」をわきまえていないといわざるをえません。

 石原知事は就任以来、知事の立場を使って「憲法を破棄せよ」などと特異な政治的主張を広めようとしてきました。障害者や女性など弱者を傷つける暴言をくりかえし、最近も、いじめ自殺問題で「予告して自殺するバカはいない。やるならさっさとやれ」とのべて怒りを買いました。さらに豪華海外出張に現れた都政の私物化ともいえる行動は、知事の資格そのものを問い直すものです。

 都議会の自民、公明、民主の「オール与党」は競い合って知事にすり寄り、予算にもすべて賛成です。知事を正面から批判する野党は日本共産党しかないという議会が石原知事を増長させています。都の幹部職員も「都民、職員の声を聞かないトップダウン、独断的運営を行った」といいます。知事が巨額の血税を浪費する豪華海外出張を続けた背景には、都政の中での専横があります。

 しかし、七年間の石原都政は都民との矛盾を激しくしています。

 各分野の都民施策切り捨てへの怨嗟(えんさ)の声が広がっています。国の教育基本法改悪を先取りした「日の丸・君が代」強制は司法が「違憲・違法」と断罪しました。鳴り物入りで設立した「新銀行東京」も深刻な経営状態が表面化しました。三選への売り物にしようとしたオリンピック誘致構想は、八兆円を超える投資を伴う浪費型計画であることに批判が高まっています。

終わらせるたたかいを

 「王様は裸だ」という一人の少年の声でニセの権威がすべて崩れ去った「裸の王様」の寓話のように、仮面がはがれた石原知事は、都民の強い批判にさらされざるをえません。

 来年四月に迫る東京都知事選。東京の革新勢力は元足立区長で歯科医の吉田万三氏という候補者を得て、広い都民との対話をすすめています。改憲、大型開発、無駄遣いの石原都政を終わらせるたたかいを、いまこそ大きく広げましょう。


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