2006年11月18日(土)「しんぶん赤旗」

主張

イラク戦争参加

「正当」発言はもう通用しない


 中間選挙でイラク戦争の責任を問われたアメリカのブッシュ大統領は、ラムズフェルド国防長官をやめさせ、イラク政策の「見直し」に着手したと伝えられます。しかし安倍首相は、イラク戦争が「正当」だったといい、戦争支援の変更もないという態度をとりつづけています。

 戦争をはじめた当のブッシュ政権がイラク政策の見直しに追い込まれているというのに、日本政府がイラク戦争は正しかったと言い続けるのは重大です。これでは日本は誤りも正せない異常な国と見られ、ますます世界で孤立するだけです。

誤りは正すべし

 もともとイラク戦争は、ブッシュ政権がイラクは大量破壊兵器をもっているとうそをいってはじめた不法な戦争です。その論拠はことごとく崩れ、ブッシュ大統領自身も「開戦時の多くの情報が誤りだった」と認めました。戦争の根拠が間違っていたのですから、うそではじめた戦争も誤っているというのは自明のことです。ところがブッシュ政権は情報の誤りを認めながら、戦争自体は正しいと言い続けたため、泥沼に導いた責任が問われているのです。

 日本政府はこの誤ったアメリカの情報をもとに開戦をいち早く支持し、自衛隊をイラクに送り込みました。その判断の根拠が崩れた以上、イラク戦争支持の決定と軍事支援を見直すのは当たり前です。

 しかし安倍首相は、「当時、イラクに大量破壊兵器が存在すると信じるに足る理由があった」、開戦支持自体は「正しい決定」だったと言い続けています。あとで誤った戦争とわかっても、当時は正しかったと判断したのだから、いまも戦争支持を続けるのが正しいというのです。これは誤った決定をした者の開き直りの議論です。政策判断の誤りを正すこともしない安倍首相は、政治責任の自覚さえもたない欠陥宰相ということになります。

 安倍首相のような言い分が許されるなら、戦前、日本が「暴支膺懲(ぼうしようちょう)」(中国侵略では日本のいうことをきかない中国を懲らしめる)といって中国を侵略し、「自存自衛」といって太平洋戦争を起こしたことも、すべて「正当」ということになります。誤りを誤りと認めない態度は通用しません。

 安倍首相がイラク戦争支持の誤りを認めないのは、アメリカの先制攻撃戦略にそって海外で米軍とともに戦争する態勢づくりをねらっているといわれても仕方がないものです。日本政府がつくりあげてきた「アメリカの戦争は正当」との神話が崩れればアメリカいいなりで自衛隊を海外に送り込み、最後まで参戦し続けることが難しくなるため、イラク戦争支持を強弁し続けているといわれても弁解の余地はないでしょう。

 うそではじめた不法な戦争を「正当」といいはり、戦争支援を続ける日本政府の態度はアジア諸国に日本にたいする警戒心を大きくさせるだけです。安倍首相は世界に通用しない議論をやめ、イラク戦争支持と戦争支援の誤りを正すべきです。

空自の撤退が急務

 重大なのは現に、航空自衛隊がクウェートとバグダッドなど戦闘が激しく続いている地域の間で軍事輸送を続けていることです。それがイラクの罪のない民間人を攻撃する米軍などのための後押しになっていることは明白です。非人道的な無差別攻撃支援をこれ以上続けるべきではありません。うそではじめられた戦争の誤りを認め、自衛隊をただちに撤退させることこそ不可欠です。


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