2006年11月17日(金)「しんぶん赤旗」

教育基本法改悪案強行採決

各紙社説で批判

禍根を残すのは必至

教育改革の名が泣く

納得のいく説明なし


 自民、公明両党が十五日に衆院教育基本法特別委員会で教育基本法改悪法案を強行採決したことに、十六日付の新聞各紙は社説で「急ぐ理由がまったく見当たらないのに、衆院特別委員会を野党が欠席する中、単独採決したことは将来に禍根を残す」(「毎日」)など懸念、批判の声を上げています。

 各紙とも共通しているのが、与党の強引な採決への厳しい目です。「国民の多様な意見には、もはや耳を傾けないということなのだろう」(北海道新聞)、「『せまい日本 そんなに急いで どこへ行く』という交通標語を思い出させるような急ぎっぷりだ。数を頼んだ強引な手法は『教育の憲法』に最もふさわしくない」(高知新聞)。

国民の信頼失う

 共同通信の編集委員は「数を頼りの強行突破で、教育の根本法を政争の真っただ中に放り込んだ」と与党を批判。信濃毎日は、「教育現場の反対も根強い中で、なぜ改正を急ぐのか、基本法を変える必要がどこにあるのか、いまだ納得のいく説明はない。拙速な対応は避けねばならない」とのべています。「毎日」は、「今の基本法が『占領軍の押し付け』と過程を問題にするのなら、これもまた将来、『成立の仕方に疑義があった』とならないのか」と指摘します。

 「やらせ質問」「いじめ自殺」など、審議途中で発覚した問題の対応にも批判が集中しています。「(タウンミーティングでの)意見集約にこうした“不正操作”があったのであれば、法案提出の資格さえ疑わしくなる」(北日本新聞)、「政治的策謀で基本法改正を図るとすれば言語道断だ」(南日本新聞)、「子どもたちの自殺が後を絶たない。異常事態である。法改正よりも、こうした問題への対応が先だろう」(徳島新聞)、「いじめや必修科目未履修問題などが深刻化する中で成立を急げば、禍根を残すのは必至だ」(山梨日日新聞)。

 「東京」は、「“世論偽造”に等しいやらせ質問や、四年前に知りながら放置していた必修漏れなどが次々と露呈し、国民の信頼を失ってしまっている。自らの姿勢を正さずして、教育基本法改正を語る資格があるのか疑問だ」と批判。高知新聞は、やらせ質問など「『真理と正義』(第一条)に反し、国民を欺くこうした行為も、基本法の責任にするつもりなのだろうか」と指摘します。

法案の中身問う

 法案の中身を問うものもあります。「朝日」は、「教育の問題を法律の問題にすり替えているのではないか。教育基本法を変えなければできない改革や施策があるなら、示して欲しい」と疑問を提起。「愛国心」が改悪法案に盛り込まれていることについても、「愛国心を子どもたちに競わせることにならないか」としています。中国新聞は、「平和憲法と並び、戦後社会に溶け込んできた法律の改正を、なぜそれほどまでに急ぐ必要があるのか。現行憲法を『戦勝国の押しつけ』として、新憲法制定を最大の政治課題と位置づける安倍晋三首相の思いが強く反映されていることは間違いあるまい」と、教育基本法改悪が憲法の改悪に直結することを懸念しています。

 沖縄タイムスは、「このままでは教育改革の名が泣く。…子どもたちの未来のためにも、審議を差し戻して時間をかけて論議することが肝要だ」と、委員会への審議の差し戻しを求めています。


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