2006年11月16日(木)「しんぶん赤旗」
教育基本法改悪 自公が強行採決
衆院委 4野党が抗議
安倍内閣が最重要法案と位置づける教育基本法改悪法案について自民、公明両党は十五日、衆院教育基本法特別委員会で強行採決しました。野党側は審議の継続を強く求めましたが、与党は同日の中央公聴会開催後、単独で採決に踏み切ったものです。日本共産党など野党四党は同日、書記局長・幹事長会談で、採決を前提とせずに公聴会を開催するとした与野党合意に反して審議を打ち切ったとして、「審議の前提は崩れた」との認識で一致。全委員会で審議に応じられないとの方針を確認しました。
野党四党の国対委員長は採決後、河野洋平衆院議長に対し、法案を委員会に差し戻すよう申し入れました。申し入れ後、日本共産党の穀田恵二国対委員長は、公聴会開催前に採決日程を決めるよう主張し、強行採決した与党側の姿勢を厳しく批判しました。与党側は、逢沢一郎衆院議院運営委員長の職権で十六日の本会議開催を決めており、十六日中に改悪法案の衆院通過をはかる構えです。
日本共産党の市田忠義書記局長ら野党四党の書記局長・幹事長は同日の会談で、政府・文部科学省による「やらせ質問」の発覚など、法案提出者としての資格にかかわる問題を棚上げにしたままの採決は許されないと批判。また、自民党への入党と次回選挙での処遇を見返りに、改悪法案の採決に協力するよう山本拓農水副大臣が国民新党の糸川正晃衆院議員に持ちかけた問題についても、「議席買収で法案の成立をはかろうとする行為だ」として厳しく追及していくことで一致しました。
「核武装議論」発言をめぐって野党が要求した麻生太郎外相の罷免を首相側が拒否している点でも、さらに追及していくことを確認しました。
歴史的暴挙を糾弾
委員会に差し戻せ
志位委員長
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糸数けいこさん応援のために沖縄入りした日本共産党の志位和夫委員長は十五日、那覇市パレットくもじで開かれた街頭演説の冒頭で、教育基本法改悪案が衆院教育基本法特別委員会で強行採決されたことにふれ、次のように訴えました。
さきほど午後五時十八分、衆議院教育基本法特別委員会で、自民・公明は、教育基本法改悪法案の採決を与党単独で強行する暴挙にでました。私は、この歴史的暴挙をみなさんとともに、怒りをこめて糾弾したいと思います。
きょう中央公聴会といって国民のみなさんの声をきく大事な場がありますが、その公聴会を開く前に、与党が数の力で採決日程を決めた。これは、国会のルール破りです。公聴会で国民の声を聞いたうえで、さらに審議するのが当たり前の国会です。この国会のルールを破る無法のうえにおこなわれた強行採決を私たちは断じて認めるわけにはいきません。
この間、日本共産党をはじめ野党は、法案提出者の資格にかかわる問題として、三つの大きな問題――「やらせ」問題、未履修の問題、さらに、いじめ自殺という痛ましい問題について、文部科学省の関与と責任をきちんと明らかにしたうえで、徹底審議が必要だと、強く求めてきました。
しかし、政府・与党は、これらの大問題のすべてにほおかむりのまま、採決を強行しました。審議はまったくつくされていません。この採決は絶対に認めるわけにはいきません。
与党は、明日の衆院本会議で、“毒を食らわば皿まで”と与党単独で法案の強行をはかろうとしています。わが党は、委員会への差し戻しを強く求めます。
糸数さん応援で暴走ストップを
沖縄の政治戦の行方が、この問題でもたいへん重要になってまいりました。かつての戦争では、鉄血勤皇隊、ひめゆり部隊など、十四、五歳の少年少女まで「根こそぎ動員」され、たいへんな犠牲をこうむりました。この侵略戦争をすすめる手段とされたのが教育勅語など「お国のために命をささげろ」という間違った教育でした。その反省のうえにつくった教育の根本法が教育基本法ではありませんか。これをくつがえすことは絶対に許せません。
今度の五党共闘のなかでは、教育基本法の改悪を許さないということが、一致した公約として高々と掲げられています。政府・与党の暴走をストップさせましょう。