2006年11月15日(水)「しんぶん赤旗」

ゆうメイト“解雇”指示

郵政公社近畿支社 民営化へ向け選別


 来年十月の郵政民営化を前に、郵政公社内で非常勤職員ゆうメイト(約十六万人)を安易に再雇用しないよう文書で指示していることが十四日までに分かりました。国民サービス切り捨ての郵便局統廃合と併せて、民営化に向けた人件費削減がねらいです。何年も働き続けてきた職員にたいする雇い止め(解雇)が相次いでおり、「身勝手な解雇は許せない」との声が上がっています。

 ゆうメイトは、常勤職員と変わりなく働きながら、半年の予定雇用期間内で契約更新を毎日繰り返す「日々雇用」と呼ばれる不安定雇用。十年二十年と長く働いても、年収で二百万円にもならない人が多数います。

 問題の文書は、「良質なゆうメイトの確保」と題して、近畿支社の郵便事業部長名で普通局長あてに出されたもの(八月十七日付)。

 「賃金・超勤の削減」が最重要課題だとして、「雇用人数の見直し」などと併せて「良質なゆうメイトの確保」を強調。そのために「長期ゆうメイトの予定雇用期間満了に際し、安易に良質とは言い難いゆうメイトの再雇用を行わないよう見極めを行ってください」と指示しています。

 一方で「良質なゆうメイトは、普段から仕事の労をねぎらう声掛けを行うなど長期安定的な雇用となるよう努めてください」と強調しています。

 「見極めの基準」として、「再三の指導にもかかわらず勤務態度や作業能率が劣る者」など四点をあげ、ゆうメイトに導入している勤務評価(三段階)などをもとに判断するよう求めています。

 各地で「三十年以上勤めているのに十月から突然雇い止めにされた。どうやって生活していけばいいのか」(東京)「出勤日数が週五日から四日に減らされ、九万円しかない月収がさらに約二万円も減った。暮らしていけない」(神戸)などの声があがっています。

「評価」よくても雇い止め

ゆうメイト 広がる雇用不安

 郵政公社では、非常勤職員「ゆうメイト」にたいする雇い止め(解雇)を文書で指示する一方で、十月から「キャリアスタッフ」と呼ぶ制度を導入。公社が「貢献している」と評価した一握りのゆうメイトだけに、給与・手当を優遇する措置を打ち出しました。

 ゆうメイトは、来年十月の民営化時に期間満了ですべて退職し、新会社と改めて労働契約を結ぶことになっています。

 そのため、「新会社に雇用が継承されないのではないか」「雇い止めになると生活していけない」など雇用不安の声があがっています。

 雇い止めを指示した文書について公社は「公社は指示しておらず、近畿支社以外では出ていない」としながらも「経費削減のため安易に延長しないよう求めているので、こういう形になったのではないか」「再三の指導に従わない場合だ」などと労働組合に説明しています。

 しかし、郵政産業労組などには勤務成績がよいと評価されている人や、指導など受けていない人でも雇い止めを受けたと訴えています。近畿以外の支社でも上司から「良質なゆうメイトではない」といわれる例が出ています。

民営化時に雇用保障を

 郵政産業労組・日巻直映書記次長の話

 ゆうメイトは、パート労働法が適用されない非常勤職員とはいえ、常勤職員と変わらない責任を果たし、公社も「貴重な戦力」と認めざるをえない存在になっています。

 にもかかわらず何年も契約更新してきた職員を雇い止めにしたり、一方的に勤務時間を削減するなど許されないことであり、社会的責任が問われます。ゆうメイトが安心して働き、生活できるよう民営化時の雇用継承を保障し、賃上げなど待遇改善をはかるべきです。


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