2006年11月14日(火)「しんぶん赤旗」
都知事予定候補 吉田万三さんに聞く
改憲・大型開発・無駄遣い
石原都政を終わらせる
福祉重視の施策すすめ 地元経済応援
来春の東京都知事選に立候補を表明した元足立区長で歯科医師の吉田万三氏(革新無所属、日本共産党推薦)に、都知事選に臨んで都民に訴えたいことや歴史的なたたかいに挑む決意などについて話を聞きました。
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――立候補を表明しての反響はいかがですか。
地元足立区をはじめ多くの人たちから、期待や激励をたくさんいただいています。
安倍政権が誕生して、真っ先に掲げたことが憲法と教育基本法の改悪でした。日本の進路にとって、重要な時期にあるいま、自らが最前線に立ち、流れを大きく変えるたたかいをしなければいけないと決意しています。
3つの問題
――石原都政の七年間をどう見ていますか。
石原知事のことは、女性や障害者への聞くに堪えない暴言やアジアの国々への差別発言など、ひどい人だなと見ていました。その石原知事が都民の多数が望んでいないのにとても熱心にやっていることが、三つあります。
一つは、憲法改悪の旗振りと教育基本法改悪の先導役としての教育現場への介入です。「君が代」を起立斉唱しなければ処分すると脅し、無理やりいうことを聞かせようとしている。子どもたちのことを考えると、こうした強制はもっとも反教育的なやり方です。
二つ目は、オリンピック招致を口実に、これまで「都市再生」の名で進めてきた大型開発を加速し、巨大化する、けた外れの税金投入です。東京オリンピックが実現しようがしまいが、招致を名目に大型開発さえすればいいというもので、名目にされたオリンピックの方がかわいそうです。
三つ目は、海外出張です。週三日ぐらいしか登庁しないといわれているのに、この七年間で十九回も海外出張の名で豪華旅行に行っている。行く先もアメリカのグランドキャニオンとか、南米のガラパゴス諸島とか観光コースが多い。自分のお金を使って行くのならともかく、都民の税金ですからね。
こうした石原知事の実態は、意外に都民に知られていませんね。こんなひどい問題は、世論の力でがつんとやらないといけない。
石原知事のパフォーマンスをマスコミが伝えるなかで虚像もつくられていますが、実態を知れば、こんなおかしな旗振り役を、都民はいつまでも許さないでしょう。
本末転倒だ
――足立区長の経験者として都政について、どんな考えをお持ちですか。
足立区長のとき、よく話していたことがあります。「家をいくら立派にしても、家庭内がぎくしゃくしていてはいけない。家は質素でも、家族が助け合い楽しく暮らせる方がいいでしょ」と。豪華庁舎や区のホテル建設などの「ハコ物」ばかり、いくら立派にしても、区民の暮らし、福祉がなおざりでは本末転倒です。
いま、本当に暮らしが大変ですよね。東京では孤独死する高齢者がたくさんいます。そんなとき自治体が、暮らしや福祉を後回しにして大きな建物や道路を優先して造るのではなくて、医療や介護、営業、若者の雇用に力を入れて仲良く安心して暮らせるまちにするために頑張る。そうなってはじめて、住んでいてよかったといえる東京になるのではないでしょうか。
石原知事は、小説家というわりに、想像力に欠けていると思いますね。弱い人が置かれている実態への想像力、日本が戦前、中国や韓国にどれだけ苦痛を与えたかということへの想像力です。これが欠けていては、何のためのまちづくりなのか、目的を誤ってしまいます。
切り替えて
――いま、都民に訴えたいことは?
都の税金の使い方を、大企業が潤う大型開発優先のむだ遣いから、都民の暮らしを応援する方向に切り替えようということです。
ただ、暮らし・福祉を重視することと、公共事業とが対立するかのように誤解している人が、けっこういます。実際は、暮らし、福祉にお金を回せば、地元の身近な事業は増えます。
たとえば、都営住宅や福祉施設などの建設は、地元業者の仕事や雇用を増やし、身近な経済がよくなるんです。暮らしをよくする施策を進めれば、経済もよくなることを分かりやすく訴えていくことが大事だと思います。
憲法、教育基本法を守ろうという有権者はいま、半数を超えています。都知事選までの半年間は、憲法と教育基本法の改悪を許すかどうかをめぐって緊迫した時期でもあり、こうした人たちと共同を広げれば、十分、勝機はあります。石原都政の悪行の数々を明らかにし、力関係を大きく変えるたたかいをしたい。