2006年11月10日(金)「しんぶん赤旗」
いじめ定義見直し検討
井上議員に文科省 実態の把握へ
参院委
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日本共産党の井上哲士議員は九日、参院文教科学委員会のいじめ問題集中審議で質問し、「文部科学省が把握しているいじめ件数は、実態とかけ離れている。いじめの定義を見直すべきだ」と求めました。文科省の銭谷真美・初等中等教育局長は「定義文も含めて検討し正していく」と答弁しました。
文科省はいじめの「定義」として(1)自分より弱い者に対して一方的に(2)身体的・心理的な攻撃を継続的に加え(3)相手が深刻な苦痛を感じている―を示しています。井上氏は、長野県松本市が独自基準で調査した四十七件のいじめのケースについて、文科省の基準に照らすと二件しか該当しなかった例を紹介しました。
その上で、「『持続的ではないから』『一方的ではないから』などと、定義を逆手にとっていじめを報告しないケースも報じられている」と指摘。「実態を把握できるよう、定義を見直す必要がある」と述べました。
また、井上氏は伊吹文明文科相に「いじめられる側にも問題がある、という考え方をどう考えるか」と質問。伊吹文科相は「ケース・バイ・ケース。いじめられる側の子どもの性格などに起因するものが全くないとは言えない」などと答弁しました。
井上氏は、八年前の文科省調査研究会議の報告書に「いじめられる子どもにも原因があるという考え方は一掃しなければならない」と明記されていることを指摘。伊吹文科相は「行政としては一掃するのが当然」などと釈明しました。井上氏は「大臣の認識ではいじめ問題の解決の方向がわからなくなる」と批判しました。