2006年11月9日(木)「しんぶん赤旗」
週内にも放送命令
NHKに 拉致問題を重点
電波監理審答申
電波監理審議会(総務相の諮問機関、会長・羽鳥光俊中央大教授)は八日、菅義偉総務相が放送法に基づき、短波ラジオの国際放送で北朝鮮による拉致問題を重点的に扱うようNHKに命令することを認める答申を行いました。同相は審議会終了後、記者団に対し、週内をめどに命令を発動する考えを表明しました。
政府がNHKの国際放送に対し、個別具体的な事項を報じるよう命令するのは極めて異例です。
菅総務相は、安倍晋三首相が拉致問題解決に向け、関係閣僚に対策を指示したことを踏まえ、放送命令を活用する方針を決めました。審議会は、放送で拉致問題に留意するよう命令することを認めましたが、同時にNHKの編集の自由に配慮するよう求めました。
放送法はNHKの国際放送について、総務相が事項や区域を命じることを認め、費用は国が負担すると定めています。放送命令は定期的に出ていますが、従来はNHKの自主性に配慮し、指示事項は「国際問題に関する政府の見解」といった大枠の内容にとどめるのが通例です。与野党からも批判の声が出ています。
「放送の自由」脅かす
吉井英勝衆院議員(日本共産党)の話 これまで総務相が出してきた命令は放送内容には踏み込まないものでした。それは戦前、国際放送が謀略も含んだ国策放送だったことへの反省があったからです。それを今回のように具体的な命令を出すということは、憲法、放送法に定められた放送の自由を脅かし、放送の国家統制につながる恐れを含んでいます。放送命令は出すべきではありません。