2006年11月7日(火)「しんぶん赤旗」
沖縄 米軍ヘリ劣化ウラン使用
被ばく怖い 地元不安
“基地撤去させるしかない”
「普天間基地を撤去させるしかないさ」。宜野湾市の沖縄国際大学前で中古車を販売している中村健一さん(37)は、海兵隊ヘリのCH46に劣化ウランが使用されている事実に語気を強めました。
中村さんは二〇〇四年八月十三日に同大学構内に墜落した大型ヘリCH53シースタリオンの破片や大学のコンクリート片が店を直撃、「危うく死ぬところだった」。
防護服姿の米兵が放射能汚染調査をはじめた時には強い不安と恐怖を覚えました。健康診断の結果、異常はありませんでしたが「何年かたってがんになっても事故との関係はわからず、それっきりだ。それがこわいさ」と言います。
劣化ウランは固形のままで隔離されていれば人体への影響はありません。しかし、「墜落事故などで燃焼し、気化したガスを吸うと体内被ばくし発がんする可能性が極めて高い」(矢ケ崎克馬・琉球大学理学部教授)といわれています。
劣化ウランをめぐっては米軍が湾岸戦争、アフガン攻撃などで使用した劣化ウラン弾による米兵や住民への放射性被害が国際的批判を集めています。沖縄では鳥島射爆場で大量に使用しました。県議会が米軍に保有量の公表と撤去を求める決議を可決しています。
ヘリ墜落で消火活動にあたった宜野湾市消防本部の伊佐禎一郎警防課長は「隊員が放射能汚染などで精神的ストレスを感じてないか不安だった」と振りかえります。
そのうえで同課長はこう指摘します。「米軍ヘリに放射性物質が使われている。事故はどこでも起きる。米軍ヘリは県内を飛び放題だから。被害を受けるのは県民だ」
同市基地対策課の山内繁雄課長は「米軍ヘリの劣化ウランなど放射性物質使用の被害はいつ起きても不思議ではない。米軍ヘリが住宅地上空で激しい旋回訓練をした日には、墜落の夢を見る」と不安を訴えます。
沖縄県の基地資料は〇五年末現在の統計で、一九七二年の復帰から米軍ヘリによる事故は八十八件。CH46が最多で二十七件、墜落事故も同ヘリが八件で最多です。(山本眞直)