2006年11月7日(火)「しんぶん赤旗」

ニカラグア大統領選 左派優勢

米干渉下、政策に徹す

新自由主義から転換訴え


 【マナグア(ニカラグア)=松島良尚】六日未明、ニカラグアの首都マナグアの各地から花火の音と歓声が聞こえます。左派・サンディニスタ民族解放戦線(FSLN)党のオルテガ元大統領が五日の大統領選挙で十六年ぶりに復権する可能性が濃厚になったことから、支持者らの喜びが伝わってきます。


 今回の選挙で右派が初めて分裂したものの、オルテガ氏は米国の干渉と右派の集中攻撃を浴びながらたたかいました。

 選挙半年前の四月、米国務省のマコーマック報道官は、「昔の独裁者であるダニエル・オルテガのような信用できない人物を拒否するようニカラグア国民に勧める」と発言。選挙戦に入ってからは、グティエレス商務長官が「オルテガ氏の当選は両国関係を脅かす」と強調し、米大使はオルテガ氏に投票しないよう呼びかけるほどでした。

 右派はオルテガ氏の革命政権時代の国民生活の苦難を前面に押し出し、「オルテガは危険」のキャンペーンを実施。「オルテガが当選すれば米国と戦争になる」との謀略電話も使いました。

 オルテガ氏は、これらの挑発にのりませんでした。FSLNのグティエレス議員は、「どういう政治的立場の人にも納得してもらえる政策の提起に徹した」といいます。

 その政策の基本は、国民的団結、内戦時の国民的対立の和解、生産力の強化、連合政権と参加型民主主義です。新自由主義政策から転換し、「野蛮な資本主義」を正そうと訴え、貧困克服を最重点にかかげました。

 和解の象徴は、大統領選と同時に行われた国会議員選挙のFSLN名簿の上位にかつて革命政権と対峙(たいじ)した野党国民連合の当時の幹部をすえたことなどに示されました。

 生産力強化をめざす政策は、農民や中小零細企業に融資する振興銀行の新設です。中央銀行以外の公的金融機関は破たんなどですべて民間銀行に吸収され、大企業しか融資を受けられないのが実情だからです。

 オルテガ氏は、債務の精査や再編、大企業の利益隠しを許さない税制改革なども掲げています。

 この半年ほど、国民を苦しめているのは、原油高騰などからくる一日六時間以上に及ぶ停電とその結果生じる断水です。現政権はその解決策を示していません。オルテガ氏は、長期的には水力、地熱発電を開発するとし、短期的にはベネズエラやブラジルの協力をあおぐとしています。


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