2006年11月7日(火)「しんぶん赤旗」
沖縄の米軍ヘリ
部品に劣化ウラン
普天間の輸送機 HPで判明
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沖縄県宜野湾市の米海兵隊普天間基地所属で、イラク戦争にも投入された海兵隊強襲作戦の主力をになう輸送ヘリコプターCH46シーナイトの部品に、法律で核燃料物質・放射性物質として規制を受ける劣化ウランが使用されていることが米軍資料で六日までに明らかになりました。
同ヘリの劣化ウラン使用は、航空機の放射性物質を管理する米空軍ライトパターソン基地第八八航空団環境管理部の公式ホームページ上の「航空機放射性物質データベース」に記載されています。
データベースは、同ヘリの羽根(ローター)のバランス確保のために劣化ウランを使用していると明記しています。
劣化ウランは、放射性物質で毒性があり、「核拡散防止条約」で核燃料物質として所持・運搬などで管理が義務付けられています。日本でも「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」で制限され、許可のない使用は禁じられています。
文部科学省原子力安全課によれば、日本の航空機での使用許可は一件もありません。放射性物質としての危険性から、日本の民間機では日航ジャンボ機の御巣鷹山墜落(一九八五年)などをきっかけにタングステンに替えています。
沖縄では、二〇〇四年八月十三日の沖縄国際大学構内に海兵隊普天間基地の大型ヘリCH53シースタリオンが墜落。防護服姿の米兵が放射能検知機(ガイガーカウンター)で現場調査を始めたために、消防隊員や周辺住民は放射能汚染の不安と恐怖に脅かされました。
同データベースは、CH53には劣化ウランの記載はなく、回転翼監視システムに放射性物質のストロンチウム90を使用しているとしています。
本紙はホームページの記載について在沖海兵隊司令部、在日米軍司令部に対し確認を求める質問を提出しました。海兵隊司令部は「インターネットで多彩な情報が得られるだろう」として回答を事実上拒否し、在日米軍司令部からは回答がありません。
文科省は「米軍の放射性物質の取り扱いについては把握する立場にない」としています。
劣化ウラン 原子力燃料としての低濃縮ウランを製造する際、天然ウランの濃縮工程で残ったウランをいいます。原子力発電の増加とともに増えつづけますが、核燃料以外での利用は航空機のカウンターウエイト(重り)や砲弾などに限定されています。劣化ウランが鉛の一・五倍という高密度の性質を利用したのがアメリカで開発された劣化ウラン弾。戦車などの厚い鋼板を貫通しますが、その際ウランが微粒子化して発火。この微粒子を吸入すると内部被ばくを受け、がんを発症させるほか重金属としての化学毒性をもっています。