2006年11月5日(日)「しんぶん赤旗」

新国際労組大会が閉幕

綱領採択

「新自由主義と対決」


 【ウィーン=浅田信幸】オーストリアの首都ウィーンで一日から開かれていた国際労働組合総連合(ITUC)結成大会は三日、新自由主義路線にもとづく経済のグローバル化とたたかう活動方針をまとめたITUC綱領(プログラム)を採択し、七十人からなる指導機関の総評議会を選出して閉幕しました。初代書記長には前国際自由労連(ICFTU)の書記長ガイ・ライダー氏(英)が選ばれました。

 ライダー氏は書記長に選出された後、「われわれは新たな楽観主義と希望をもち、単に数だけでなく多様性においても強くなったことを自覚しつつ、新しいインターナショナルの活動を開始する」と宣言。「われわれの挑戦はITUCを新たな労働組合国際主義の手段にすること」であり、「目標はグローバルな経済を根本的に変えることだ」と決意を表明しました。

各国が問題提起

 初日に採択された原則宣言(規約前文)でも指摘されたように、大会の主要テーマは新自由主義路線にもとづく経済のグローバル化問題でした。各国で増大する失業や貧困、労働者の権利の侵害、一国内の貧富の格差拡大と世界の南北間の格差拡大、エイズの広がりと不法移民の増大―グローバル化がもたらしているさまざまな問題が各国代表から提起されました。

 採択されたプログラムは「グローバル化を労働者、無職者、貧困者のためになるよう根本的に変える」ことを宣言。このために▽経済、社会、環境を考慮に入れた持続的開発▽労働者の基本権の尊重▽すべての人に人間としてふさわしい仕事(ディーセント・ワーク)の確保▽所得の公正な再配分―などを結合した「世界経済の統治」を提唱しています。

 またグローバル化の推進力となっている多国籍企業の活動に対する国際的な規制が「ますます緊急に必要になっている」と指摘しました。

 世界の平和、国際外交の分野では「単独行動主義を拒否する」とし、「平和維持と紛争の平和的解決における国連の主要な役割」への全面的支持を明記。その上で「二〇〇三年のイラク戦争開始決定を非難」し、同国の「占領を終わらせるために国連が役割を果たす」ことを求めています。

1・7億人擁す

 ITUCの性格としては「独立、民主」「統一、複数主義」が規約でうたわれました。

 大会には新国際組織結成に向けて十月三十一日に解散を決定した国際自由労連と国際労連の傘下労組、および両労連に加わっていなかった八カ国八労組の計三百六のナショナルセンター代表約千七百人が出席。大会初日の一日、規約を採択し、ITUCの創設が宣言されました。

 一億六千八百万人の組合員を擁する世界最大の労働組合組織となったITUCが、みずから掲げる課題と規約にもとづき、どのような運動を展開するのか、また結成大会に招かれなかった世界労連や独立・中立系の組合との国際的な連帯と共同をどう広げていくのか、注目されます。


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