2006年11月4日(土)「しんぶん赤旗」

首脳会議共同声明

“世界の平和に貢献”

中国とASEAN 関係発展

対話で諸問題解決めざす


 【ハノイ=鈴木勝比古】中国の南寧で十月三十日に開催された東南アジア諸国連合(ASEAN)と中国の関係十五周年を記念する首脳会議は、ASEANと中国の良好な関係が「それぞれの発展を大きく促進し、具体的利益をもたらしたのみならず、地域と世界の平和、安定、繁栄にきわめて重要な貢献をした」(共同声明)とたたえています。


 ASEAN議長国フィリピンのアロヨ大統領は首脳会議のあいさつで「ASEANと中国の関係が今日ほど良好で強固な時はない」と強調し、「東南アジア諸国は西側市場への貿易依存を減らすために中国に期待している」と述べました。

 一九九七年のアジア通貨危機を通じてASEAN各国は西側先進諸国への過度の経済依存が危険であることを認識し、中国との経済協力を強化しました。ASEANと中国の貿易は九一年の八十億ドルから二〇〇五年の千三百四億ドルへと飛躍的に増大。一〇年にはASEAN・中国自由貿易地帯を実現する目標です。

かつては脅威

 ASEAN各国はかつて中国と対立し、中国の脅威を強く感じていました。各国内の毛沢東主義を信奉する武装勢力との衝突、各国内の華人社会との摩擦もその要因となっていました。ASEAN各国と中国が外交関係を確立し終えたのはインドネシアが中国との国交凍結を解除した一九九〇年のことです。

 中国の銭其シン外相が九一年、マレーシアで開催されたASEAN外相会議にゲストとして参加しました。九四年には「協議国」としてASEAN地域フォーラム(ARF)の初会議に参加。九六年からは「対話国」としてASEAN拡大外相会議に出席しています。

 中国がASEANとの対話を重視するようになった重要な契機は南沙諸島の領有権をめぐるフィリピン、ベトナムなどとの紛争です。武力衝突や領土標識紛争などの発生を防ぐために双方はARFでの対話を開始し、継続しました。そして〇二年には南シナ海の行動規範に関する宣言を締結。今回の会議では宣言を具体化し、行動規範を採択する方向での作業の促進に合意しました。

南シナ海調査

 注目されるのは関係各国が係争地域である南シナ海で海底資源の合同調査を進めようとしていることです。アロヨ大統領は中国の温家宝首相やベトナムのグエン・タン・ズン首相と個別に会談し、合同調査の促進で合意しました。インドネシアのユドヨノ大統領は温家宝首相との会談で「ASEANと中国は南シナ海を平和と協力の地域に変える努力をすべきだ」と語りました。

 ASEANは中国が東南アジア非核兵器地帯条約議定書に調印する用意を核保有五大国の中で最初に表明したことを高く評価しています。マレーシアのアブドラ首相は三十日のあいさつで「中国が示した模範に他の核保有国が従うことを希望する」と語りました。中国はインドとともに〇三年に東南アジア友好協力条約(TAC)に加入しました。アブドラ首相は「中国の早期の(TAC)加入が他の重要な対話国の加入を促し、その後十カ国がTACに加入した」と語りました。

 今回の会議では「中国の平和的台頭」についても話し合いました。インドネシアのディノ・ジャラル大統領報道官は「この討議は中国の台頭が東南アジアにプラスに作用し、ASEAN共同体の促進を助けることを保障する目的で行われた」と説明しました。共同声明は「ASEANは、安定し、発展し、繁栄する中国がこの地域の平和、安定、持続的成長に貢献すると確信する」と述べています。


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