2006年11月3日(金)「しんぶん赤旗」
人員削減・民営化に抗議
英医療労働者 16労組が国会要請
【ロンドン=岡崎衆史】英イングランド各地の医療労働者ら約千人が一日、ロンドン中心の国会前に集まり、医療機関職員の人員削減反対や民営化拒否を議員に訴えました。
公共サービス労組(ユニソン)をはじめ十六の労働組合が共同で呼びかけたもので、医師や看護士のほかに、清掃労働者など他の分野の労働者も連帯を示すために駆けつけました。
ユニソンのプレンティス書記長は集会で、政府が国民医療制度(NHS)の「改革」を自賛していることにたいし、「NHSが最良の年を迎えたと主張する保健相は人々を欺いている」と抗議しました。
NHSは一九四八年に導入された医療費原則無料の医療制度で、処方薬品などを除く医療費ほぼ全額が政府の一般財源でまかなわれています。
政府の「改革」は、NHS傘下の医療機関での民営化や職員の人員削減を進めてきたものです。こうした「改革」についてプレンティス書記長は「最良の年というのはNHSを乗っ取ろうとする民間企業にとってであり、医療サービス削減に見舞われている患者の見方とはまったく異なる」と批判しました。
政府は今年人員削減の対象となったNHS関連医療機関職員の人数を約九百人と計算していますが、最大野党の保守党は、政府のNHS財政赤字削減政策で約二万人が解雇されたと見積もっています。
ブレア首相は一日の国会党首討論で、「NHS内に本当に困難な問題があることは事実である」とも述べ、問題が山積していることは認めました。