2006年11月2日(木)「しんぶん赤旗」
教育基本法「改正」に危惧
北海道の元校長ら75氏
北海道内の元校長・教頭らが一日、「教育基本法の『改正』に反対し、守り、生かす取り組みをすすめましょう!」とアピールを発表しました。
呼びかけたのは、全北海道退職教職員の会(太田垣信夫会長)と、北海道高等学校退職教職員の会(平山耕佑会長)。元遠軽町立遠軽南小学校長の渡部務氏ら道内の小中学校や高校、養護学校などで校長、教頭などを務めたことのある七十五人が賛同しました。
渡部氏らは一日、札幌市内で記者会見し「教育基本法『改正』を許さず、さらに豊かなものに発展させよう」と呼びかけました。
アピールは政府の教育基本法改定案が「法律になじまない『愛国心』や道徳律を書き込み、戦前と同様、行政が国民の心に介入し時の政府に従順な人づくりをしようとするもの」だと批判。
全国で連続して起こっているいじめ自殺事件など、子どもと教育の困難を打開するために必要なのは、「憲法、教育基本法の理念に基づく教育行政の徹底、教育条件と教育の自由の保障」であり、「いまこそ教育基本法を守り、生かすことが何よりも重要です」と主張しています。アピールは、国会議員と文部科学省、与党などに送付されます。
福島大学の歴代学長6氏
教育基本法の性急な改正を危惧(きぐ)する福島大学の歴代学長六氏(渡辺源治郎氏、山田舜氏、篠笥憲爾氏、星埜惇氏、吉原泰助氏、臼井嘉一氏)は一日、連名で緊急アピールを発表しました。福島市内での記者会見には、教育学部長経験者の篠笥、臼井両氏が臨みました。
アピールでは、「現在上程されている改正案は教育の目標として国家が徳目を掲げ、国家や行政主導の教育への改変をもくろみ、教育への国家介入を許す内容であり、こうした改正が教育の本質にそぐわず教育の本来あるべき姿とかけ離れたものであることに深い憂慮の念を抱かざるを得ない」と述べ、「教育の諸問題が、現行教育基本法の理念を前提に、教育にふさわしい環境とスパンで深く論議され、国民的合意に到るよう願うものである」と結んでいます。
質問に答えて両氏は「広く県民に訴え慎重審議を求める」「六人の学長経験者が一堂に会してアピールを出したことは初めてのこと」と述べました。