2006年10月26日(木)「しんぶん赤旗」
軍撤退訴え縦断
イラク帰還兵 徒歩で800キロ
米ユタ州
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米西部ユタ州出身の一人のイラク帰還兵が、米軍の即時撤退をアピールするため、徒歩で同州を縦断しています。二日に北側のアイダホ州境を出発し、二十三日までに予定した行程五百マイル(約八百キロ)の四分の三を踏破しました。
この帰還兵はマーシャル・トンプソンさん(27)。二〇〇五年八月から〇六年八月まで、陸軍の従軍記者としてイラク各地を訪問し、「数千人の兵士に取材」した経験の持ち主。「イラクで何が起きているか本当によくわかりました」(ラジオ番組でのインタビュー)と言います。
「ほとんどの兵士が撤退を望んでいます。私の経験がそのことを確かに裏付けています。兵士には公言しないよう圧力がかけられています。軍法会議や上官を恐れています。しかし誰もだまされません。兵士はイラクで何が起きているか分かっていますし、それをよいとは思っていません」
今回の行動は、故郷のユタ州にもどり「何か正しいことをやりたい」と考え、思いついたものです。
「ユタ州は米国で最も共和党支持の強い州。戦争支持の最後のとりでです。だからユタ州を平和なやり方で歩き通し、この州にも平和を支持する声があることを示せれば、流れを変えるものになるかもしれないと考えました」
日曜日を除く週六日、一日約二十マイル(約三十二キロ)を歩きます。当初はイラクで死亡した二千七百人の米兵にちなんで、二十七日かけて歩く予定でした。ところが開始後も犠牲者は増え、二千八百人に。そこで予定を一日延ばし、十一月一日に南隣のアリゾナ州境に到着の予定です。
所々、妻のクリステンさんが生後二カ月の女児エリザちゃんをベビーカーに乗せて一緒に歩いています。沿道の町では地元の平和活動家が待ち受け、激励しています。その記録は毎日、ウェブサイトで公表されています。ゴールまであと一週間です。(ワシントン=山崎伸治)