2006年10月26日(木)「しんぶん赤旗」
全員申請受理 大きな一歩
生活保護 北九州市で調査団が会見
二次、三次調査も実施
生活保護の申請を二度拒否された男性が餓死した北九州市で生活保護行政の実態を調査、検証してきた調査団(団長・井上英夫金沢大学教授)は二十五日、三日間にわたる調査をまとめ、記者会見しました。
北九州市では生活保護の申請者にたいし申請書を渡さない違法行為が常態化していました。井上団長は、調査期間中に生活保護を申請した二十八人全員(二十五日、新たに一人申請)に、市が申請書を渡し、受理したのは大きな一歩だとのべ、「保護開始への支援を続け、違法な保護行政を変えるために二次、三次の調査も実施する」と語りました。
申請時に弁護士が同席することに、厚生労働省は「同席を拒む理由はない」としています。ところが今回の申請で「厚労省の判断がどうであろうと、同席を認めないというのが市の統一した判断」「同席されると相談員(面接員)の方がリラックスできない」(小倉北区)と課長が発言したところもあったと井上団長が報告しました。
尾藤廣喜弁護士は、今回、生活保護を申請した人のほとんどが、これまで窓口で何回も追い返されていたことに「びっくりした」とのべました。そのうえで「法はどうでもいいと公言してはばからない行政をそのままにしてはおけない。徹底して改善を求め、必要なら訴訟もやらざるをえない」と語りました。
調査団は、北九州市方式を全国に広げない、法に基づく指導を同市にするなどの提案、報告書をつくるとしています。
調査には弁護士、研究者、支援者、住民ら約三百人が参加。生活保護の申請、電話相談、住民との懇談、末吉興一市長に保護行政の改善を求める要請書を提出しました。