2006年10月25日(水)「しんぶん赤旗」

新任教員自殺は公務災害

両親が実態示し申請

いきなり担任、月100時間超過勤務

東京


 東京都新宿区立の小学校に赴任したばかりの女性新任教員=当時(23)=が自殺したのは、公務上の過度のストレスと学校内のサポート不足が原因として、両親が二十四日、地方公務員災害補償基金東京都支部長(石原慎太郎知事)あてに公務災害を申請しました。


 女性は大学を卒業し、今年四月から同小学校に配属され、五月にうつ病を発症、同三十一日に自宅で自殺をはかり、翌六月一日に病院で死亡しました。

 赴任した小学校は、一学年に一クラスしかない単学級だったため、学年指導担当教員はいませんでした。しかも前年度に常勤教員十人のうち五人が人事異動で他校に移り、サポート体制は脆弱(ぜいじゃく)でした。

 女性は友人に「相談する人がおらず、すべて自分でやらなければならない」と悩みを打ち明けていたといいます。

 二年生のクラス担任のほか、新宿区内の初任研修を受け、リポートを提出するなどの義務もありました。朝七時四十分には出勤し、夜七時以降まで勤務することが常態化していました。超過勤務は精神疾患の発症が早まるといわれる月百時間を超えていました。

 加えて保護者からの教育指導への疑問などクレームが精神的負荷を増幅させましたが、学校側は自殺直前まで把握していませんでした。

 両親は「二十三年間慈しみ育ててきた最愛の娘を亡くした親として真実を知りたいと思います。彼女が最期まで逃げずに、職を全うしようとしたからこそ倒れたのだということを証明してあげたいと思います。私たちの不幸を繰り返させないでください」とのコメントを寄せています。

 遺族代理人の川人博弁護士の話 子どもや保護者の状況が変化し、教員のサポートも脆弱になっているなか、新任教員への負担は、従前に比べても厳しいものとなっている。大学を卒業したばかりの新人が、いきなりクラス担任になるという現行の制度自体を見直すことを含めて改善すべきです。


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