2006年10月24日(火)「しんぶん赤旗」

医師不足は12万人

日本医労連 抜本的増員の緊急要求


 社会問題となっている医師不足を解決するため日本医労連は二十三日、「医師不足問題に対する私達の緊急要求」を発表し、厚生労働省に提出しました。池田寛副委員長が東京都内で記者会見しました。医師養成数の抜本的増員や労働条件の改善などを求めています。

 医師不足で病院が閉鎖に追い込まれたり、産婦人科や小児科が減少し、救急医療の輪番制から離脱する病院が相次ぐなど地方・都市を問わず深刻な問題となっています。

 ところが、政府は七月の報告書で、医師不足は地域や診療科による偏在が原因で「将来は医師過剰」になると指摘。医療費抑制のため「病院・病床・医師数を減らす必要がある」として、当面の「暫定的な医師の養成増」にとどまっています。

 緊急要求は、(1)医師の養成数を抜本的に増やし地域定着の施策を進める(2)医師の不足数、労働実態の緊急調査(3)医師の緊急配置、派遣システムの構築(4)産科や小児科などの集約・重点化をやめ、地域で生み育てられる体制づくりのほか、労働条件改善など八項目です。

 池田副委員長は、「政府は必要な医療は提供されているとの前提で、実態調査もやっていない。九千人不足だというが、OECD(経済協力開発機構)の基準だと十二万人が不足している」と指摘。「宿直もはさんで三十二時間の連続勤務をするなど医師が過労死するひどい勤務実態にある」として、国民の命と健康を守るため抜本的に増員すべきだとのべました。

 池田氏は、十一月から全国の百施設と二千人の勤務医を対象に医師不足や労働実態に関するアンケート調査をおこない、提言にまとめることを明らかにしました。

 医労連は二十七日、東京・日比谷野外音楽堂で医療関係団体と「医師・看護師ふやせ10・27中央集会」を開く予定で、医師不足の対策を訴えていくことにしています。


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