2006年10月24日(火)「しんぶん赤旗」
餓死生んだ生活保護行政
北九州市で実態調査
全国から参加
生活保護の申請を二度拒否された男性(当時五十六歳)が餓死する事件が起きた北九州市で二十三日、生活保護行政のありかたを検証する実態調査が始まりました。中央社会保障推進協議会、全国生活保護裁判連絡会、福岡県と北九州市の各社保協が共同実施するもので全国から二百二十人が参加。二十五日まで。
亡くなった男性は、昨年九月と十二月に生活保護を申請しましたが、市に拒否され、五月に変わり果てた姿で発見されたことから「生活保護行政によって命が奪われた」と批判されています。
調査は、この事件の問題点を明らかにし、生活保護や社会保障の改善策を探るのが目的です。
この日、小倉北区で開かれた集会で井上英夫金沢大学教授(団長)は、「命がなくなっていることを行政も私たちも重く受け止めるべきだ」とあいさつ。事件後の経過を高木健康弁護士が報告、朝日訴訟の原告継承者の朝日健二さんが記念講演しました。
戸畑けんわ病院・医療ソーシャルワーカーの来田時子さんが、窓口で「申請書をくださいといっても『はい』といってくれる福祉事務所はない」とのべ、体験を通して同市の生活保護行政の問題点を報告しました。
来田さんは「面接室にも入れずカウンターごしに『なにしに来た』『さっさと帰れ』と追い返す非人間的な例が増えている。人が亡くなっても何とも思わないような行政感覚をなくし市民が安心して生きていけるようにしたい」と訴えました。
調査団は二十四日には電話一一〇番を実施、市内各区で生活保護の申請に立ち会い、住民との懇談会や関係者の聞き取りをおこないます。