2006年10月23日(月)「しんぶん赤旗」
福岡・いじめ自殺
真実知りたい
おとなは生徒の勇気学んで
中2生の母が胸の内語る
「なぜ命を絶たなければならなかったのか。真実が知りたいのです」。福岡県筑前町の中学二年生の男子生徒(13)がいじめられて自殺した事件で、母親(36)が本紙の取材に胸の内を語りました。自宅の祭壇には、男子生徒の笑顔の遺影が飾られ、同級生たちからの色紙も。母親は、ときおり遺影をみつめ、涙ぐみながらもしっかりした口調で、真相の解明を訴えました。(松浦賢三)
あの子は本当にやさしい子でした。馬が好きで…。(祭壇に置かれた色紙は)ディープインパクトの(騎手の)武豊さんから送られてきたものなんですよ。バレー部の仲間や女子生徒たちからもいただきました。
私たちは、あの子がなぜ命を絶たなければならなかったのか、真実を知りたいのです。(学校や行政は)いじめの実態をふさぎ続けていると思います。なぜ真実を明らかにしようとしないのでしょうか。真実をお話しくださって、(いじめをなくすために)立ち上がっていきましょう、といってくだされば私たちも納得するでしょう。
(いじめに関係した)生徒さんの何人かがお話にこられ、夜も眠れないとか、罪の重さを感じているようです。その勇気は、私はすばらしいと思います。子どもたちは自ら立ちあがろうとしているのに、おとなたちは(真実に)背を向け、第二の犠牲者を出そうとしています。
あの子を亡くし、色々なことを教わりました。(命を絶った)二日後に一人の女の子が、こんないじめがされていた、と証言してくださいました。私たちは勇気をいただきました。その女の子は五年生のときにいじめられ、あの子が助けたんです。今度はその女の子が立ちあがって、証言してくれたんだと思います。
(全国のみなさんに)現実に、いじめがこんなにあったんだということを知っていただきたい。北海道滝川市のいじめ事件が起きたとき、「かわいそう」と思いましたが、「まさか自分の家では」と思っていました。人ごとではないということです。
文部科学省はいま、(いじめ問題で)敏感に動いていますし、安倍総理も教育の問題を取り上げようとしています。(学校や行政の)体質を変えていきたいということを国に訴えていきたいと思います。それから、教師は、教育者である前に人間であり、人間として成長すべきではないでしょうか。
いじめは、学校や親の見えないところでも起こると思います。いじめられている子を守るため、情報を集め学校や親に発信する、いじめハウスのようなものもつくっていくべきではないかと思っています。
議会で“真相解明を”
共産党筑前町議に要望
日本共産党の熊手優・筑前町議は二十一日、いじめられて自殺した男子生徒の自宅を弔問し、両親に哀悼の言葉をのべました。その場で母親は「共産党は力になっていただけると聞きました」とのべ、「(真相解明を議会で)ぜひお願いします」と繰り返し要望しました。熊手議員は「事件を正面から受けとめ、共産党として真相解明のために全力をつくします」と答えました。