2006年10月23日(月)「しんぶん赤旗」
成果主義の害悪 徹底取材
本紙連載が本に
職場の実態とたたかいに迫る
「しんぶん赤旗」が職場取材チームを編成して徹底取材した『職場ルポ 成果主義を追って』が本になりました。
日刊紙、日曜版で五月から三カ月にわたって掲載して大きな反響をよんだ「シリーズ職場」企画のなかから、成果主義賃金にかんする特集記事、連載を中心に収録しています。
成果主義を先駆けて導入した富士通をはじめ日立、日本IBM、三井住友銀行など主要大企業の職場で何が起こっているのか。商業メディアでは知ることができない迫真のルポルタージュとして、新聞での連載中、大きな反響をよびました。企業の取材拒否やあからさまな取材妨害にあいながら、奥深く踏み込んで事実をあきらかにした取材姿勢にたいし、「すごい。『赤旗』でなければできないこと」「まるでうちの職場と同じだ」などの激励、感想がたくさん寄せられました。
民間大企業とともに、学校、自治体という公務の職場、医療機関での成果主義の実態を伝えているのも大きな特徴です。個人の「成果」を格付けして賃金に反映する制度は、子どもや住民と向き合う教員や公務員にもっともふさわしくないことをリアルにあきらかにしています。
成果主義賃金が大企業を中心に日本の職場に導入されるようになってからほぼ十年になります。「年齢や学歴に関係なく成果で賃金を上げる」という宣伝で急速に広がりました。
成果主義が企業経営の特効薬であるかのような宣伝本が書店にあふれ、商業マスコミも問題に目を向けない状況があるなかで、『職場ルポ 成果主義を追って』は、企業の宣伝とは逆に賃金が下げられ、過酷な長時間労働、健康破壊、労働災害の増加、そして何よりも労働者がやる気を失って職場が疲弊し、破たんをきたしていることなど、驚くばかりの実態を描いています。労働者、労働組合の勇気ある告発、たたかいに正面から光をあてています。
偽装請負に象徴される低賃金・無権利の非正規雇用の広がりとあわせて、これを放置したら日本の社会と経済を危うくしかねないことがよくわかる比類なき読み物です。
日本共産党中央委員会出版局発行。二十一日発売。定価四百八十円。