2006年10月22日(日)「しんぶん赤旗」
栃木県警
元警部補が裏金告発
上司の指示で領収書偽造
栃木県警の元警部補が二十一日、在職中に体験した「裏金づくり」などの実態を公表しました。警官による告発は栃木では初めてです。市民オンブズパーソン栃木が宇都宮市総合コミュニティーセンターで開いたシンポジウムで証言したもの。
告発したのは今年三月末に定年退職した阿久津武尚・元警部補(60)です。一九九七年四月から二〇〇一年三月まで勤務した黒羽署交通課での経験を明らかにしました。
公金を警察内で私的に流用する裏金づくりの手口は、領収書の書き換え。上司である次長から二度、一万円のものを二万円に水増しして記入するよう、指示されたといいます。その時、領収書に記載した発行人の氏名は架空の人物、住所も番地の記載のないものでした。
交通違反のもみ消しについても証言。そのうち一九九九年の時速四十五キロのスピード超過の取り締まりでは、県議会議員がブドウの箱を持って署長に面会にきたあと、行政処分を科す書類が抜き取られていたことに気づいたといいます。
阿久津さんは「自分も裏金づくりに加担したと思う。治安を守る警察が不正をやっていいわけがない。不正を正していきたい」と告発に至った心情を話しました。
シンポジウムには百二十人が参加。原田宏二・元北海道警釧路方面本部長、現職の仙波敏郎・愛媛県警巡査部長が発言しました。オンブズパーソン栃木の米田軍平弁護士は「全国で(警察の)裏金の実態が出されており、構造的な問題だ」と述べ、情報公開を求めていく考えを示しました。