2006年10月21日(土)「しんぶん赤旗」
高速道計画で地下木簡が危機
「平城宮跡」の調査要求
文化庁に石井議員
日本共産党の石井郁子議員は二十日の衆院文部科学委員会で、ユネスコ世界遺産に登録されている「平城宮跡」(奈良市)の地下に包蔵されている七世紀中ごろの木簡が、地下トンネルを掘って高速道路を建設する計画による水位変動で、滅失しかねない危機に直面している問題をとりあげました。
計画されている道路は、京奈和自動車道・大和北道路で、「平城宮跡」地区のバッファゾーン(緩衝地帯)を縦断。市民や文化財関係者から危ぐの声があがっています。
国土交通省は九月に環境影響評価(アセスメント)準備書を公告。水位観測点が二十カ所以上あるにもかかわらず、観測点ごとの水位変動の数値を示さずに、「地下水位変動への影響は極めて小さいと予測される」としました。
これに対し石井氏は、「バックデータ(根拠)が明らかにされないまま、影響が少ないという結論だけがある」と批判。事業者である国交省ではなく、「(文化財保護に責任を持つ)文化庁みずからが、(第三者的立場で調査して)意見すべきだ」と要求しました。
伊吹文明文部科学相は、「文化財は一度壊れたらダメで、よく国交省と協議して、しっかりとやる」と答えました。
今年八月のユネスコ世界遺産委員会では、平城京を含む奈良の文化財について、環境影響評価の結果報告書を、「高速道路建設計画が翻すことが困難になる決定」(都市計画決定)の前に提出することを求める決議を採択しています。