2006年10月21日(土)「しんぶん赤旗」
難病患者 9万人排除
厚労省計画 医療費補助の対象から
政府・厚生労働省は、難病患者の医療費の全額または一部を補助している「特定疾患治療研究事業」を改悪し、来年度にも、かいよう性大腸炎の六割以上、パーキンソン病の補助対象の約半数の、合わせて九万人近い患者を補助対象から除外しようとしています。同事業予算(今年度約二百三十九億円)の抑制が狙い。除外は補助を受ける患者全体の六分の一弱にも及び、患者らは強く撤回を求めています。
同事業は四十五疾患が対象。患者数は約五十四万二千人で、かいよう性大腸炎が最多の八万人、次いでパーキンソン病の七万三千人です。
厚労省は、「おおむね五万人未満」としている難病の希少性の要件を上回っていることを理由に、補助対象を絞り込むことを計画。かいよう性大腸炎は患者の66%の軽症者(約五万三千人)、パーキンソン病は、補助を受けている患者の約半数を占める、五段階の重症度分類の3度に属する人を除外する方向で検討を進めています。
日本難病・疾病団体協議会(伊藤たてお代表)など患者団体は、そもそも五万人未満とする希少性の基準に科学的な根拠はないとし、「原因も治療法も未確立で苦しんでいる患者を予算に合わせて切り捨てる非人間的政策」と反発を強めています。
また、補助の対象を縮小すれば、軽症から重症まで疾患の全体像を把握する必要がある治療研究事業に支障をきたすと警鐘を鳴らしています。
難病対策予算を拡充し、患者団体から要望が出ているすべての難病を新たに公費補助の対象にするよう求めています。
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特定疾患治療研究事業 原因が不明で治療法も確立されていない難病のうち、治療が極めて困難で医療費も高額な疾患について、医療の確立、普及を図るとともに、患者の医療費負担の軽減を図る目的で行われているもの。重症者と低所得者は自己負担分の全額を補助しますが、それ以外の患者には一九九八年と二〇〇三年の改悪によって、一部自己負担が導入されています。