2006年10月20日(金)「しんぶん赤旗」
イラク人権委設立へ
占領軍・宗派抗争被害も対象
国会各派表明
【カイロ=松本眞志】イラク国民議会の各派から、国連の援助のもとでイラクで初めて人権委員会を設立する意向が示されました。ヨルダンの首都アンマンで十八日開かれた国連イラク支援団(UNAMI)との会合後の共同記者会見での発言です。
イスラム教シーア派与党連合「統一イラク同盟」のハイダル・アバディ議員は「これまでイラクでは人権侵害を調査することができず、結果として、犯罪者を罰することができなかった。委員会は人々から事情を聴取し、犯罪を調査する」と説明し、フセイン政権時代だけでなく、その後の、米軍主導の占領軍やバース党残党、宗派主義者による人権侵害も対象にすると述べました。
国民合意戦線(スンニ派)のオバイディ議員は、アブグレイブ収容所でのイラク人虐待問題や占領軍による殺人、脅迫行為に言及し、「犯罪のなかには、武装グループによるものだけではなく、占領軍が犯した目に余る人権侵害もある」と指摘。「イラク人が真に自由と民主主義を実感できるようにするためにイラク人の権利を回復しなければならない」と訴えました。
「人権擁護はイラク安定化の重要な要素だ」というUNAMIの責任者ジアニ・マガゼッニ氏は、人権委員会は人権省と協力して人権侵害を防ぐために活動し、憲法で保障された独立した機関として、国民議会に報告する権利を持つべきだと主張しました。人権委員会設立法案は、十月末か十一月にイラク国民議会に提出される予定です。