2006年10月20日(金)「しんぶん赤旗」
規制改革会議
“宮内路線を継承”
会見で新議長の草刈氏
政府の規制改革・民間開放推進会議は十九日、安倍内閣発足後初の会議を開き、辞職の意向を示していた宮内義彦氏(オリックス会長)に代わり、草刈隆郎氏(日本郵船会長)を新議長に選出しました。総括主査を務めていた八代尚宏・国際基督教大学教授も、経済財政諮問会議の民間議員になったという理由で辞任しました。
佐田玄一郎規制改革担当相は「安倍内閣でも教育などあらゆる分野について規制改革が重要なポジションを占めている」などとあいさつしました。
同会議は十二月下旬に教育、保育、労働などの分野で規制緩和を推進する最終答申を決める予定。答申を受けて来年三月に政府が「規制改革・民間開放推進三カ年計画」を閣議決定する方針です。
就任後の記者会見で草刈氏は「宮内さんは十年以上、政府の規制改革の会議にほとんどかかわってきた。宮内さんがいなければ規制改革は進まなかった。高く評価している」とこれまでの路線を引き継ぐことを表明。安倍晋三内閣について「サポート役として、エンジンルーム的な役割を果たしていく一翼を規制改革会議が担う必要がある」と述べました。
また、格差拡大が問題になっていることについて「致命的なことを規制改革そのものでやったという認識はない」と明言しました。
解説
新しい装いで規制緩和推進
規制改革・民間開放推進会議は財界とアメリカの要求にもとづき、医療や教育、労働、通信などの分野に「市場原理」を持ち込む“司令塔”となって、民間大企業のビジネス拡大に直結する「規制緩和」を進めてきました。
宮内義彦前議長が会長を務めるオリックスは、リース(賃貸)事業などの「規制緩和」で急成長をとげ、規制改革を推進した当事者がばく大な利益を受けていることに「改革利権」という批判が続出していました。
「規制緩和」路線と国民との矛盾が広がる中、小泉純一郎前首相の退任に伴い、宮内氏も規制改革会議の議長を辞任しました。しかし、これは“新しい装い”でこれまでの「規制緩和」路線を推進する体制にほかなりません。
新たに議長に就任した草刈隆郎氏(日本経団連副会長)は同会議で、総括主査という三役の一員であり、三年ちかくにわたり宮内氏とともに「規制改革」を進めてきた人物です。同会議の教育ワーキンググループの主査として、学校選択制や教育バウチャー制などを「精力的にやっていきたい」と述べ、推進してきました。
草刈氏は記者会見で、宮内氏について「高く評価している」と述べ、「規制緩和」路線をいっそう進める考えを改めて強調しました。(小林拓也)