2006年10月19日(木)「しんぶん赤旗」
安倍政権
日歯連マネーに染まる
中枢に9309万円
所信表明演説で、「私は特定の団体や個人のための政治を行うつもりは一切ありません」とのべた安倍晋三首相。ところが、安倍内閣のほとんどの閣僚が、日歯連マネーに染まっていたことが本紙の調べで、わかりました。党三役や首相補佐官なども含めると、二〇〇〇年から〇三年までで、安倍政権を構成する主なメンバーが受け取った日歯連献金は約九千三百万円にのぼりました。
日歯連(日本歯科医師連盟)は、日本歯科医師会(日歯)の政治団体。〇五年の政治資金収支報告書によると、四万七千八百九十四人から十一億七千六百万円余の会費を集め、約五億九千四百万円を寄付・交付金として、安倍首相が支部長の政党支部に三百万円など、政界に広範囲にばらまいています。
今回、本紙が調査したのは、自民党旧橋本派への一億円ヤミ献金など、日歯連事件が発覚する前の二〇〇〇年から、事件で献金を自粛する直前の〇三年までの四年間。これによると、伊吹文明文部科学相の九百四十万円など十六閣僚で三千四百六十七万円、自民党三役、幹事長代理、官房副長官、首相補佐官も含めると、安倍政権中枢で計九千三百九万円にのぼります。(表参照)
最高は、厚生相経験者の丹羽雄哉総務会長の二千百二十万円で、安倍首相は百八十万円。このほか、公明党の冬柴鉄三国土交通相八十万円など。
日歯連事件の贈賄側の主役である臼田貞夫前会長は、根本匠首相補佐官、安倍首相、石原伸晃幹事長代理、塩崎恭久官房長官の頭文字をとった政策集団「NAIS(ナイス)」を頼りにして、日歯の要望実現を厚生労働省に働きかけてきたことが明らかになっています。根本氏は二千百万円、石原氏は七百八十万円、塩崎氏は七百三十万円と受け取った額が目立ちます。
閣僚で日歯連の献金がないのは、民間出身の大田弘子経済財政相と、高市早苗沖縄北方担当相の二人だけです。
日歯の機関紙「日歯広報」〇一年十月五日号は、「歯科医師も診断書作成可能に 身障者福祉法15条改正で厚労省通達」という見出しで次のように報じています。
「この改正には日本医師会の坪井会長、石川副会長、安部(ママ)官房副長官、今田・厚労省障害保健福祉部長、根本衆院議員の甚大なる協力があった」
カネを受け取る一方、特定の団体の要望実現に力を尽くしたのであれば重大であり、国会での解明が必要です。
日歯連の献金にまみれた安倍政権 安倍 晋三首相 180万円 菅 義偉総務相 90万円 長勢 甚遠法相 372万円 麻生 太郎外相 390万円 尾身 幸次財務相 71万円 伊吹 文明文科相 940万円 柳沢 伯夫厚労相 60万円 松岡 利勝農水相 54万円 甘利 明経産相 130万円 冬柴 鉄三国交相 80万円 若林 正俊環境相 10万円 塩崎 恭久官房長官 730万円 溝手 顕正国家公安委員長 120万円 久間 章生防衛庁長官 50万円 山本 有二金融相 90万円 佐田玄一郎行政改革担当相 100万円 中川 秀直自民党幹事長 472万円 丹羽 雄哉同総務会長 2120万円 中川 昭一同政調会長 74万円 石原 伸晃同幹事長代理 780万円 鈴木 政二官房副長官 96万円 下村 博文官房副長官 50万円 根本 匠首相補佐官 2100万円 世耕 弘成首相補佐官 90万円 小池百合子首相補佐官 60万円
《注》政治資金収支報告書で作成。2000年から03年までの合計。02年までは地方分も含む。