2006年10月18日(水)「しんぶん赤旗」

意識不明妊婦

20病院 受け入れ拒否

奈良 1週間後に死亡


 奈良県大淀町の町立大淀病院で分娩(ぶんべん)中に意識不明となった同県五条市の妊婦(32)が、約二十病院から次々と受け入れを断られていたことが十七日、分かりました。妊婦は大阪府内の医療施設でようやく六時間後に手術を受けましたが、約一週間後に死亡しました。


 厚生労働省が来年度中の整備を求めている総合周産期母子医療センターは、奈良県では病床数の不足から未整備。県などの産科医療体制への姿勢が問われています。

周産期センター設置していれば

共産党県議 6月議会で整備要求

 日本共産党の今井光子県議は、十七日の奈良県議会決算委員会で、「奈良県でこういう事故が起きたのは大変悔しい。柿本善也知事は今年の六月議会で(私の質問に)二〇〇七年度中に周産期センターをつくると約束しました。今後こうした事故を繰り返さないためにも、きちんと実行すべきだ」とのべました。

 今井県議は六月県議会で、分娩施設が十三、診療所十七(今年一月現在)で、県北西部に集中して、山間部にはほとんどなく、分娩を扱う医療機関は三十九自治体中二十四自治体でゼロになっていることや、県立奈良医大に新生児を集中管理するNICUをつくったものの、次の受け入れ先が少ないため、実質三分の一しか回転しておらず、四割が県外搬送される実態を指摘。「県立奈良医大病院に総合周産期母子医療センターを早期に設置し、地域のセンターとして整備を進め、子どもを安心して産み、育てることのできる奈良県を」と要求しました。

 今井議員は、「今回の事件は防げたのではないかと思うと、本当に残念です。二度と繰り返さないためにも、県は一刻も早く整備すべきです」と話しています。


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