2006年10月17日(火)「しんぶん赤旗」
サラ金928億円増益に
金利改定・自民案で大手5社
現行利息制限法と比較
司法書士団体が試算
サラ金などの高金利引き下げ問題で、自民党案に盛り込まれた利息制限法の上限金利の事実上の引き上げが通ると、同法の現行金利で試算した場合とくらべて、サラ金大手五社で約九百二十八億円の増益になることが、全国青年司法書士協議会(全青司)の調査で分かりました。
|
全青司の金利引き下げ実現緊急対策本部(大部孝・本部長)が、サラ金大手の提出した有価証券報告書に記載された貸付残高(二〇〇六年三月現在)をもとに試算。現行利息制限法の上限金利で計算した場合と、自民党案の上限で計算した結果を比較しました。
最も増益が大きかったのはアイフル(本社・京都市)。現行利息制限法下の金利収入(見込み)三千七百六十億四千六百九十二万円が、改定後は四千百八十九億九千六百三十三万円に増え、増益額は四百二十九億四千九百四十一万円にのぼります。
次いでプロミスが、二百三十八億九千二百五十四万円の増益になっています。
武富士は有価証券報告書の貸付金額別が「五十万円超」までしかないため、百万円以上の貸し付けの増益分が計算できず、実際はさらに大きな増益になると見られます。これは、各社とも同様です。
稲本信広・本部長代行は「出資法の上限金利(29・2%)と利息制限法の間の『グレーゾーン金利』について、払い過ぎた分の請求が可能だ。しかし、利息制限法の上限が上がると、これまで『グレー』だった部分の一部が『シロ』になり、サラ金業者に合法的に吸い上げられることになる。多重債務者の救済という制度改革の趣旨に真っ向から反する」と話しています。
同本部は十六日、日本共産党の「高金利引き下げ対策チーム」と国会内で懇談、自民党案の修正と規制強化を求める要請書を提出しました。同チーム責任者の大門実紀史参院議員、副責任者の佐々木憲昭衆院議員、事務局長の仁比聡平参院議員が応対しました。
自民党案どおりに利息制限法が改定された
場合のサラ金大手各社の増益額(試算)
社 名 増益額
アイフル 429億4941万円
ア コ ム 149億1065万円
武 富 士 70億2832万円
プロミス 238億9254万円
三洋信販 40億6323万円
5 社 計 928億4415万円
(全青司・金利引き下げ実現緊急対策本部調べ)
利息制限法と自民党案 利息制限法は貸付額によって上限金利を区分しています。
自民党が九月に公表した「貸金業法の抜本改正の骨子」は、上限金利20%となる貸付額を現行の「十万円未満」から「五十万円未満」に、上限18%を「十万円以上百万円未満」から「五十万円以上五百万円未満」に、15%を「百万円以上」から「五百万円以上」に変更するとしています。
二十万円を借りた場合の金利は、18%から20%に上がることになります。