2006年10月16日(月)「しんぶん赤旗」
教育基本法「改正」急ぐな
教育委員会の8割超す 新潟県
議論不足/市長が反対/地方の声反映を
キャラバンに回答
政府が今国会で強行しようとしている教育基本法「改正」案について、新潟県内三十五自治体のうち八割を超える二十九自治体の教育委員会が、反対を表明したり、地域、学校現場の声を反映させるなど国民的な議論を求めていることがわかりました。
新潟県労連、県公立高校教職員組合、県私立学校教職員組合連合、新潟大学教員組合、新日本婦人の会県本部など五団体が、各自治体の教育委員会を訪ね、教育基本法「改正」や少人数学級の問題などについて懇談・要請するキャラバン活動に取り組んだもの。キャラバン行動は三日から六日まで行われ、一自治体で首長が、二十三自治体で教育長が応待しました。
教育基本法「改正」案について、「改正」に反対を表明した自治体では「市長は改正に断固反対と表明している。校長会では改正案と現行法を対比して読み、住民の視点と自分自身で判断するように伝えている」(教育長)とのべました。十分な国会審議を求めたいくつかの自治体では、教育長から「議論不足だ。時代が変わったという改正理由に無理がある」「改正の意図がわからず、校長も疑問視する人が多い。子どもの悲惨な状態は学校教育や教育基本法のせいではない」などの意見もありました。
国に対して、「教育改革というならば、まず地方の教育委員会の声を反映させてほしい」「国の教育政策が朝令暮改では困る」「教育バウチャー制度は現実にあわない」などの注文も出されました。
また、六つの教育委員会が「コメントできない」と答えましたが、教育基本法を「早急に改正すべき」との見解を表明した教育委員会はひとつもありませんでした。
県が独自に実施している小学一、二年生の三十二人程度学級について、少人数学級が学習、生活指導に効果があり、積極的に評価した教育委員会が九割を超える三十三にのぼりました。三年生以上への拡充を求める声も強くあり、すでに独自で補助教員を配置するなど、対策をすすめている自治体もありました。
格差社会の影響が子どもたちにおよび、就学援助などが増加している実態を訴えた教育委員会(十九)も多く、約七割の二十四教育委員会で教育財政の確保に困難を生じていることが、話題になりました。