2006年10月16日(月)「しんぶん赤旗」

列島だより

住民アンケートに願いぎっしり

“医療費や税金高い” 共産党へ期待も


 自公政権による相次ぐ増税と社会保障の切り捨てで庶民が強いられた格差社会。日本共産党が各地で取り組んでいる住民アンケートには、苦しい生活がつづられるとともに、国や地方自治体への厳しい批判の声が寄せられています。「住民の声を議会に」と奮闘する日本共産党名古屋市議団と大阪の寝屋川市議団からアンケートの取り組みを報告します。


名古屋市議団 4500通の回答

予算要求の力に

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 日本共産党名古屋市議団は、七月から市政アンケートに取り組み、十六行政区ごとに全戸配布、これまでに約四千五百通の回答が寄せられ、過去最高の回収結果となりました。

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 意見欄には、政治に対する怒りや不安、要求、日本共産党への期待など、さまざまな意見がびっしり書かれたものが目立ちます。回答者は、無党派の市民からも多く寄せられ、年齢も十代から九十代まで広く、六十代以上が五十数%でした。

 設問の「市民の関心あること」(複数回答)では、「税金」と「高齢者・介護」が35%のトップで、「年金」「医療・健康保険」と続き、福祉・くらしの充実を望む声が多いのが特徴です。

 設問の「一年前に比べてあなたの生活はどうですか」では、約65%が「苦しくなった」と答え、その理由としては税金、健保・年金、介護保険料、医療費などをあげ、「元気な名古屋」といわれる割には、市民の生活はそれほどよくなっていないことが明らかになりました。

 名古屋城本丸御殿の復元(事業費百五十億円といわれる)については、圧倒的多数が「福祉や暮らしの予算を削ってまで推進しない」などと批判的ないし慎重な立場を示し、市民は冷静に見ていることがわかりました。

 九月議会では、党市議団は市政アンケートの声を取り上げ、高齢者への大増税の中止と減免制度の拡充をはじめ、小学校卒業までの医療費無料化と所得制限撤廃、介護保険の独自支援の充実などを本会議で市当局に迫り、市長に対し来年度予算の重点要求も行いました。

 地域の切実な要求については、議員や党支部が関係機関へ働きかけ、老朽化した雨水ますの取り替え、公園の草刈り、歩道の整備などが実現し、市民から喜ばれています。市営住宅に住む障害者からは「浴槽につかるのも不自由。ぜひシャワーの取り付けを」の声が寄せられ、議員が現地調査して設置され、「言ってよかった」の声も寄せられました。

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 アンケート用紙に受取人払いの返信用封筒を付けたことで、回答には安心して住所・氏名を記入された方が二割以上ありました。議員からお礼の手紙を送ったり、直接訪問しています。そのなかで、党支部も把握できなかった長年の党支持者に出会い、「しんぶん赤旗」読者に快くなった方もありました。

 アンケート用紙の配布に協力した党支部のみなさんにも回答を見てもらっています。目を通した人は「アンケートで市民の声を聞こうとする姿勢はまことに立派だ」「無党派です。貴重な一票は共産党に入れています。なぜなら戦争中に反対を貫いたから。これだけの理由です」「もっと大きくなって政治を変えてほしい」などの声に励まされています。

 市議予定候補の一人は、「市民からの期待の声が大きいのにびっくりした。元気が出てきた。アンケートの声を宝にして来年のいっせい選挙と参院選挙で頑張りたい」と決意を新たにしています。(平子直義・名古屋市議団事務局長)

名古屋市民の声

 △年金が少なくなりましたが、税金は十倍近くに増えました。生活もだんだん苦しくなり、医療費、介護保険料も高く困っています。(75歳)

 △幼育費の負担が大きい。今後、日本の将来にかかわる少子化問題といいながらも全く無視されている。補助されれば子どもの数も増えると思う。(20歳代)

 △毎日毎日、仕事探しに明け暮れています。毎日家にいるのがつらく、どこか私を受け入れてくれる会社を探しています。(59歳)

 △立場の弱い人の予算を削ってまでの市政を改善できるように共産党に期待します。(37歳)

 △20歳からいちども棄権したことはなく現在まで共産党に投票してきました。あきらめず応援し続けますので、ぜひがんばってください。(40歳代)


大阪・寝屋川市議団 初の試みに1100通

結果は「民報」で紹介

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 「年金生活で国保料・住民税も払えない。病気しても治療費が高いため、病院に行けない」「障害者の負担はすべて命にかかわることです。いじめないでください」―。日本共産党寝屋川市議団は、「ありのままの市民の声をつかもう」と、今年七月から八月にかけて、初めて「寝屋川市政についてのアンケート」に取り組みました。

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 党議員団は、市民の声を市政に生かす議会活動や要求実現の運動に取り組むとともに、アンケート結果を市民に報告しようと、「寝屋川民報」を八万部作製して配布しています。

 アンケートは市内の四万近い世帯に配布し、千百人の市民から郵送で回答が寄せられました。八月に中間集計をしましたが、そこでは、

 ――現在の市政について、「大いに不満51%」「少し不満27%」と八割の市民が不満を感じている

 ――市長がすすめている主要な事業に賛成する市民は、「二つの駅前再開発事業への税金投入(8%)」「廃プラスチック処理施設の建設(10%)」「公立保育所への民営化(17%)」などわずかである

 ――市民が市政に望むことは、(1)国民健康保険・介護保険の負担軽減(2)高齢者・障害者福祉の充実(3)教育・子育て環境の充実―が上位でした。

 これは、今の市政に市民が明らかに異議をとなえていること、市民は大きな開発より、くらしを守る施策の充実を求めていることを示しています。この間、党議員団が主張してきたことが、市民の声であることが裏づけられ、私たちも確信をもつことができました。

 意見欄には、国政での自民・公明連立政権のもとでの生活破壊に対する怒りの声が数多く書かれていました。

 党議員団は、氏名や住所を記入していただいた方には、訪問などで対話をすすめています。道路や下水道の改善、交通安全対策など、個別の具体的な要望については、地域の党支部とも連携して調査と行政への働きかけを行っています。

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 九月市議会の本会議で、私は一般質問に立ち、議場に集計結果を配布し、アンケートに示された市民の声をどう受けとめるのか、と市長に見解を求めました。市長は「アンケートがどのような形でとられたのか、不詳で個別の答弁をさし控えたい」と、具体的な答弁をしませんでした。

 私は、「アンケートは無差別に配布し、郵送で回答があったもので、ありのままの市民からの声であり、正面から受けとめるべきだ」と述べ、都合の悪い意見に耳を傾けない市長の姿勢を厳しく批判しました。

 この間の寝屋川市政は「行政が決めたことは、市民が何を言ってもかえない」という時代錯誤の姿勢がまかりとおってきました。「市民の意見を聞く当たり前の市政」にするため、頑張りたいと思います。(松尾信次・党寝屋川市議団長)

寝屋川市民の声

 △12月双子の出産予定で、仕事を半年休まねばならず、パートのための賃金保障がなく、出産費用、保育料、負担が大きすぎて不安になる。(女性、20歳代)

 △所得税法の改悪により、必然的に住民税に波及し、前年度より所得が少ないにもかかわらず、住民税は約3倍になった。(男性、70歳代)

 △息子(23歳)が障害者作業所に通う当事者です。負担が大幅に増えましたが、将来グループホームで自立させたい思うと、子どもの年金では月何万円もの赤字となり、先がとても不安です。作業所の運営費も削られてつぶれてしまうかと心配です。(女性、50歳代)

 △深夜に熱を出した子どもの搬送先を聞いて驚きました。あまりにも遠いのと少なさに。大切な子どもを守るというなら、もっと力を入れてとりくむべきです。子らが育たなければ国も育つことはない。(女性、30歳代)


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