2006年10月16日(月)「しんぶん赤旗」
主張
北朝鮮制裁決議
国際社会の総意にこたえよ
国連安保理が北朝鮮の核実験を非難し、国連憲章第七章四一条にもとづく経済制裁をもりこんで、北朝鮮に核兵器と核兵器開発計画、大量破壊兵器、弾道ミサイル計画の廃棄義務があるとする決議を、全会一致で採択しました。
決議は、北朝鮮に六カ国協議への即時・無条件復帰と、朝鮮半島非核化を誓約した六カ国共同声明(昨年九月)の迅速な履行を要求し、外交的、非軍事的な方法による解決を求めています。
全会一致での採択
安保理は北朝鮮にたいして、ことし七月のミサイル発射を非難した決議、核実験予告に警告した議長声明につづき、全会一致で今回の決議を採択しました。北朝鮮の核実験に抗議し、核兵器の開発と保有を許さない国際社会の結束した強い意思を示すものです。
北朝鮮が九日に強行した核実験は、安保理決議、議長声明などが世界とアジアの平和と安定への脅威として一致して反対した、国際社会の意思を無視したものです。六カ国共同声明や日朝平壌宣言、朝鮮半島非核化共同宣言など、自ら同意した国際取り決めを踏みにじるこの暴挙を支持する国は、ひとつもありません。
北朝鮮は、今回の安保理決議に示された国際社会の総意を厳粛に受け止めて、ただちに核兵器および核兵器開発計画を放棄し、即時・無条件で六カ国協議の場に立ち戻るべきです。決議を「全面的に拒否する」(国連大使)態度ではなく、核兵器開発計画を放棄し、国際的無法を改めることが、北朝鮮の安全に役立ちます。
重要なのは、日本共産党の志位委員長が談話で強調しているように、今回の安保理決議が「制裁措置は、非軍事的なものに限定する立場に立っている」ことです。安保理決議が、国際社会の一致した要求を実現する方策として北朝鮮に適用した制裁措置は、国連憲章第七章四一条にもとづく非軍事の措置で、四二条の軍事的措置は排除されています。
中国、ロシアなどが決議の表現をめぐって最後までこだわったのも、決議にもりこんだ「貨物検査」などの制裁措置が、軍事的措置に結びつかないようにすることでした。
決議は、国連加盟国とくに六カ国協議関係国が緊張を激化させないことを確認し、この立場から六カ国協議の早期再開を促進する外交努力をさらに強めることを明確にしています。
北朝鮮以外の関係国とは、なにより米、日、中、ロ、韓国です。これらの国々はとりわけ、この点を重視してあたる必要があります。
国連決議を受け、北朝鮮に核兵器開発計画を放棄させるための関係国をはじめとする外交活動が活発になります。
非軍事的措置による外交努力を通じて、北朝鮮に核兵器の放棄を迫ることが、安保理決議に示された国際社会の総意であり、関係国は、そのための努力を尽くすべきです。
外交的解決に力尽くせ
日本政府も、安保理決議を順守し、国際的協調に力をそそぎ、事態を外交的、平和的に解決するあらゆる努力を強めるべきです。「周辺事態法」を適用するなどといった北朝鮮との軍事対決を前提にした対応を優先させるのでなく、平和的、外交的努力をさらに強めることが求められます。
中韓首脳は、緊密に連携しつつ関係国との協議を強めることで合意しています。中韓との外交関係修復にも動き出している安倍政権の真価が問われています。