2006年10月15日(日)「しんぶん赤旗」
非暴力運動をテロ扱い
米国防総省 反戦集会を監視
【ワシントン=山崎伸治】米国防総省が秘密裏に国内の反戦運動に関する調査を行い、情報を「テロ対策」のデータベースに蓄積して他の政府機関と共有していることが明らかになりました。全米市民的自由連合(ACLU)が十二日、情報公開法にもとづいて入手した米政府文書を公表し、非暴力の抗議行動をテロ扱いするものと批判しました。
ACLUによると、国防総省は国土安全保障省や地方の警察署、FBI(連邦捜査局)合同テロ対策本部などの情報源を使って、戦争反対の抗議行動に関する情報を収集。それを「脅威および地域監視通知」(TALON)と呼ばれるデータベースを通じ、政府機関に提供しています。TALONはもともと、国内でテロとのつながりのある組織や人物を突き止めるためのものです。
公表されたのは「TALON報告」という連絡文書。冒頭に「この情報は司令官および参謀に対し、テロ活動の可能性に注意を喚起し、その他、軍の保護にかかわる問題を通知するためだけに提供されるものである」とただし書きされています。
二〇〇五年四月六日付の同報告には、ジョージア州アトランタで「情報提供者」が「戦争に反対し新兵募集に抗議する集会は、二カ月ごとに新しい場所に移動する」と連絡してきたとあります。
〇五年三月一日付の同報告では、キリスト教系非政府組織(NGO)のアメリカ・フレンズ奉仕委員会がイラク開戦二周年に行う集会の予定が紹介されています。テロとは無関係の平和組織までが監視の対象となっています。
ACLUの弁護士ベン・ウィズナー氏は「米軍には、米国の戦争政策に反対する米国民の平和的な活動を監視する理由などない」と批判。「『テロとのたたかい』の名のもとに、この政権が手に入れてきた歯止めのない権限に注意を払う必要がある」と呼びかけています。