2006年10月13日(金)「しんぶん赤旗」
自立支援法 今月から本格施行
障害児施設も応益負担
報酬単価抑制で減収に
障害者自立支援法は四月から一部実施され、十月から本格施行が始まりました。何がどう変わったのでしょうか。
すでに福祉サービスや医療の利用者負担に、原則一割の応益負担が導入され、施設からの退所やサービス利用の抑制など、深刻な事態がおきています。くわえて、今月からは車いすや義肢などを購入・修理する補そう具費や、障害児施設の利用料(食費や水光熱費は実費負担)も、応能負担から応益負担に変わりました。
障害児施設は、児童福祉法の改悪により、措置制度から保護者との利用契約制度に移行し、応益負担になりました。
乳幼児通所施設のモデルケースでは、低所得世帯の場合、月額利用者負担がこれまでの千百円から九千四十円(三年間の経過措置で食費軽減された額)と九倍になるなど、特に若い保護者には大変な負担です。
国に応益負担の中止を求めるとともに、当面、国および自治体独自の負担軽減策をすすめることが、いっそう大事になっています。
実態にあった区分認定必要
在宅サービスや施設などを利用したい場合、原則三年間有効の障害程度区分(区分1〜6)認定が必要になります。市町村は、区分認定や医師意見などを参考に、サービス種別、支給量、支給期間を決定します。
障害程度区分は、福祉サービスの支給決定にあたっての「勘案事項の一つ」にすぎないことが、法にも明記されています。程度区分によって利用できるサービスが切り下げられることのないように、自治体への働きかけが重要です。区分認定や支給決定に納得できない場合は、都道府県や市町村に審査請求・申し立てができます。
区分認定の調査項目は、介護保険の要介護認定調査が中心になっているため、知的障害者や精神障害者は低く認定される傾向にあります。国は障害者の特性や実態にあった調査方法に改善すべきです。
新たな体系に移行5年以内
すべての施設や事業は、今月から五年以内に新たな体系に必ず移行しなければなりません。移行すると利用する障害者の障害程度区分に応じた報酬単価になります。この報酬単価が低くおさえられ、減収になると見込む施設が圧倒的です。廃業を考えざるをえない施設も出てきています。
すでに、四月からの報酬単価の引き下げと、月払いから日払い化された影響で、施設の収入は二―三割激減しました。これまでも切り詰められてきた施設職員の労働条件が、さらに悪化しています。国は報酬単価を引き上げ、日払い方式を見直すべきです。
新事業では、障害程度区分によっては、利用者が利用できなくなる事業も出てきます。新体系移行後も、引き続き五年間利用できるとの経過措置を、延長させるなどが必要です。
小規模作業所財政支援を
地域生活支援事業は、市町村や県の裁量で利用料を独自に決められます。利用料が無料か低廉な負担の自治体が広がっており、さらに広げていくことが大事になっています。
国は小規模作業所の移行先を、地域生活支援事業の「地域活動支援センター」へ誘導していますが、自治体の現行補助水準が大幅に後退しかねません。国はもちろん、都道府県や市町村は小規模作業所にたいして安定した運営ができるよう、財政支援を強めるべきです。(日本共産党政策委員会 秋山千尋)