2006年10月6日(金)「しんぶん赤旗」
米のミサイル防衛基地化
チェコ国民51%反対
世論調査
米国のミサイル防衛(MD)導入に反対する運動がチェコで勢いを増しています。三日にチェコの下院で与党・市民民主党内閣に不信任がつきつけられた理由の一つにはこの問題をめぐる国民の反対があります。
米国は弾道ミサイル攻撃からの防衛のためとして、国際的なMD体制をつくろうとしています。アジアではすでに日本政府の協力をとりつけているほか、韓国にMD基地建設を要求。カナダにも参加するよう圧力をかけています。欧州ではポーランド、チェコがMDシステム参加を協議していくと表明したほか、ハンガリーも検討中です。
チェコでは六月の下院選挙で政権を握った保守の市民民主党が導入を打ち出しました。MD導入推進派は、イラン、北朝鮮などが今後十年間に核兵器保有国になる危険性を主張しています。
プラハからの報道によると、MD基地をチェコ国内に建設することについては国民の意見が二分。九月の世論調査では51%が反対し、61%は国民投票による批准が必要だと答えました。
北大西洋条約機構(NATO)からの離脱を訴えるチェコ・モラビア共産党などがMD反対署名を集め、すでに四万人が署名しています。同党はこの問題を念頭に、二十万人の署名があれば国民投票を実施しなければならないとする憲法の修正案を提案しています。
MD導入には野党の社会民主党も反対しています。与党連合でもMD導入に賛成しているのは市民民主党だけ。それ以外の緑の党、キリスト教民主連合・チェコ人民党は「反対か、いやいやながらの賛成だ」と伝えられます。
市民民主党主導の政府に対しては、米国流の「小さな政府」の名による福祉切り捨てや、所得税への一律15%課税の新たな導入、企業税の軽減などの新自由主義経済政策への不支持も広がっています。(片岡正明)
ミサイル防衛(MD) 敵の弾道ミサイルを早期発見するレーダー網、陸上・海上発射の迎撃ミサイル、迎撃ミサイルの管制を行うシステムなどの総称。米軍が新兵器開発の重点課題とし、日本を含む各国を巻き込もうとしています。議会予算局が一月に公表した報告書では、米国のMD予算は現会計年度の八十五億ドルから二〇一三年には百九十億ドルに倍増する見通しです。