2006年10月6日(金)「しんぶん赤旗」
生活保護の実態は…
日弁連 “生存権保障へ改善を”
シンポ
日本弁護士連合会は五日、北海道釧路市で第四十九回人権擁護大会シンポジウム第二分科会「現代日本の貧困と生存権保障」を開きました。貧困、格差拡大のなかで生活保護問題をテーマにしたシンポジウムは同大会として初めて。会場の「まなぼっと幣舞」に七百人以上が集まりました。
自・公政権の「骨太方針二〇〇六」を推進する安倍内閣は生活保護に上乗せ支給されていた老齢加算廃止、母子加算の削減・廃止に続き、生活保護基準をも引き下げようとしています。シンポは憲法二五条の保障する健康で文化的な最低限度の生活(生存権)を守るために貧困の実態を検証、「貧困の連鎖」をたちきる一歩として生活保護制度の問題点をえぐりました。
小野順子弁護士は、日弁連が実施した全国生活保護一一〇番の結果を報告。六百三十四件の相談のうち福祉事務所に行った人のほとんどが窓口規制を受け申請できていませんでした。
討論ではこの窓口規制が北九州市での餓死事件をはじめ悲惨な事態を招き、セーフティーネットの役割が果たせていないことが浮き彫りになりました。
布川日佐史静岡大学教授は、社会的弱者に法を無視した運用がまかり通り、“自立支援”の名のもとに保護から追い出そうとする動きがあり、弁護士が自治体の監視を強め「制度の運用や改善に力を発揮してほしい」と要望しました。