2006年10月2日(月)「しんぶん赤旗」

主張

新装備の開発

海外軍事作戦の備え許さない


 防衛庁は二〇〇七年度概算要求に、戦場で高速走行する機動戦闘車の開発費や上空から攻撃目標を見つけだす滑空型無人機の調査・研究費を計上しています。

 新装備の保有は、自衛隊に米軍と同じ装備を持たせることで、海外での日米共同作戦能力を飛躍的に高めることがねらいです。国際紛争介入への道を突き進むための新装備導入を認めるわけにはいきません。

先制攻撃につながる

 滑空型無人機は、他国領空を飛び回り、収集した地上の部隊配備や移動状況についての情報を自軍に伝達して、先制攻撃に導く偵察機です。

 ブッシュ政権はイラクやアフガニスタンで無人偵察機を多用し、民間人を巻き添えにする無差別殺りくをくりかえしています。偵察衛星との組み合わせで軍事効果があがり、それだけ被害を大きくしています。

 日本も情報収集衛星を運用し、地球の任意の地点を一日一回偵察できる情報収集能力をもっています。これに滑空無人機を組み合わせれば、偵察情報はより詳細になり、自衛隊はアメリカが進める先制攻撃戦争の戦場で、米軍並みの作戦ができる能力をもつことになります。他国領土内の軍事目標を探り、先制攻撃につなげることのできる装備を保有するのは、海外で戦争するための備えであることはあきらかです。

 防衛庁はアメリカの高高度滞空型無人偵察機グローバルホークか中高度滞空無人偵察機のどちらかを選定しようとしています。アメリカと同じものを持つことによって、日米間で偵察責任地域を分担することも、情報を日米で共有し攻撃作戦に役立たせることもできるからです。

 米軍は無人偵察機を増強する計画です。日本の滑空無人機保有は、米軍の滑空無人機による情報収集作戦の一翼を担うものでしかありません。米軍に攻撃目標情報を提供すれば集団的自衛権の行使にもなります。容認できないのは当然です。

 八年かけて開発しその後配備をめざす機動戦闘車も、海外の戦場で米軍と一体化した作戦を進めるための装備です。

 開発するのは米軍がイラクなどで武装勢力掃討作戦のため駆使している戦闘装甲車「ストライカー」と同じ種類です。NHKも「ストライカー」をモデルに開発されると伝えています(九月一日)。搭載する105ミリ砲は74式戦車搭載砲と同じで、走行戦闘車両を破壊できる強力な威力をもっています。特徴はC130輸送機で空輸できることです。機動戦闘車が海外の戦場でたたかうことを主眼とした装備であって、イラク派兵で政府が説明した人道支援などのための装備ではありません。

 滑空無人機の導入や機動戦闘車の開発・保有、海外派兵部隊である陸上自衛隊中央即応連隊の新設などはすべて海外でたたかう態勢づくりです。憲法九条をないがしろにすることは許されません。

世界で孤立する道

 政府はアメリカいいなりに憲法をねじまげ自衛隊を世界有数の軍隊に育ててきたものの、「専守防衛」を方針としてきました。憲法九条やアジア諸国の警戒心を無視できなかったからです。こうした制約を取り去り、「世界の中の日米同盟」路線にもとづいて、海外でたたかう態勢づくりに突き進んでいることにアジア諸国が警戒を強めているのは当然です。政府はアジアで孤立する道を進むべきではありません。

 憲法九条を守ってこそ、平和と友好の関係を維持できます。


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