2006年10月1日(日)「しんぶん赤旗」

アイスランド 完全非武装国に

米軍が撤退・基地閉鎖


 【ロンドン=岡崎衆史】北極圏に接する島国アイスランド(人口約三十万人)から九月三十日、米軍が完全に撤退し、駐留基地のケフラビーク海軍航空基地が閉鎖されます。

 これは、世界規模で進む米軍再編の一環として実施されるもの。アイスランドは、対ソ封じ込め戦略の拠点の役割を果たしてきました。米軍当局者は、ソ連崩壊と戦略上の重点が「対テロ」戦争に移ったために、同基地の重要性が低下したことを閉鎖の理由としています。

 アイスランドは自国の軍隊を保有していないため、米軍撤退で完全な非武装国家となります。

 米軍は一九五一年の防衛協定に基づいてケフラビーク基地に駐留。最大時は四万五千人に達しました。基地はソ連崩壊前、主に同軍の潜水艦などの監視、警戒の役割を果たしてきました。基地にはF15戦闘機やP3C哨戒機も配備されてきました。

 これらの軍用機や約千二百人の米兵、基地関係者はすでに引き揚げ、残っているのは約三十人だけとなっています。

 米軍撤退後の防衛について、アイスランド政府は軍隊の創設を否定。撤退後の基地は民間利用することを明らかにし、地元経済の発展に貢献すると予測しています。基地で働いていた約七百人の職員についても、景気が良好なことから再就職先が容易に見つかると楽観視しています。

 米国務省は二十六日に声明を出し、両国が二国間協力に関する協定に数週間以内に調印することを明らかにしました。

 英BBCによると、米当局者は、今後のアイスランド防衛について、北大西洋条約機構(NATO)同盟国として相互防衛の関係を維持するとしています。

 アイスランドは四九年以来のNATO原加盟国。加盟国中で唯一、自国軍を保有していません。


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