2006年9月30日(土)「しんぶん赤旗」

岐阜県裏金問題

共産党、95年から追及

保守系県議も「高く買っている」


 岐阜県の裏金問題で、県は二十八日、職員四千人以上の処分を発表しました。一方で、最大の責任者である梶原拓前知事と森元恒雄元副知事(現・自民党参院議員)は処分の対象外で、両者の主張も食い違い真相が解明されず、県民の怒りは大きくなっています。日本共産党の大西啓勝県議は一九九五年からカラ出張による裏金づくり疑惑を指摘し、問題が明らかになった今年七月以降も県議会で問題追及の先頭に立ってきました。


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(写真)岐阜県議会の「不正資金問題調査検討委員会」に出席する大西県議(右端)=19日

しぶしぶ謝罪

 「大西先生の指摘を受けて大掛かりな調査をしていれば、今日の深刻な事態は招かなかったと強く反省している」

 梶原前知事は二十五日、県議会の不正資金問題調査検討委員会で大西県議が「裏金があると知りながら、調査しなかったから今日の事態を招いた」と追及したのに対し、しぶしぶ謝罪しました。

 大西県議が九五年に県議会で行った「旅費による裏金づくりが行われているのではないか」との質問に対し、県幹部は「問題のある出張はない」と答弁していたのです。

 この質問は、弁護士でつくる第三者機関「検討委員会」も注目し、梶原氏が「過去の実態を精査しなかった」と認める根拠にしました。県議会全会派での古田肇知事への申し入れもこの質問を引用しました。

 大西県議は裏金問題が明らかになって以降も、特別委員会の設置要求や、調査検討委に梶原前知事と森元元副知事らの参考人招致を提案するなど、議会での問題追及の中心になってきました。

 こうした大西議員の活躍を、県議会最大会派「県政自民クラブ」の有力ベテラン県議は、「高く買っている」と言います。他会派は、裏金問題を議会でほとんど取り上げなかったからです。

“きれいな水”に

 ベテラン県議は「われわれが(疑惑などの質問を)やりたいと思っても、利権に走る議員や、仲間意識があってやれない。大西さんがやかましく(質問)することによって、“濁り水”を少しでも“きれいな水”にしてゆく。大西さんの議席はなくてはならない」と言います。

 日本共産党岐阜県委員会と大西県議は議会内外で多くの県民と共同。市民団体が中心になって結成された「岐阜県裏金問題の徹底究明を求める会」(代表よびかけ人・大須賀しずかさん=党岐阜市議、県議候補=ら)は県議会議長に対し百条委員会の設置を要求し署名、宣伝活動などを行っています。

責任もっと重い

 県は二十八日、「岐阜県政再生プログラム」を発表。退職者であるとして処分を免れた梶原前知事は三千万円の返還を表明しましたが、四期十六年間、知事を務めた退職金一億八千万円と比べわずかです。

 岐阜市の事務職女性(44)は、「梶原さんは知事になったときから裏金があると知っていたわけでしょ。責任はもっと重いと思う。全容が分からないまま、今の職員だけ処分して、幕引きしてしまうんじゃないかな」と憤ります。

 梶原県政を支えた与党県議も「梶原前知事は、金さえ返せばすべて終わりという考えだ。それがそもそもの間違い。これでは再発防止ができない」と語気を強めます。

 大西県議は言います。「梶原氏ら元幹部の責任は重大と指摘しながら、刑事告発は困難としています。責任に見合った調査が不十分であり、徹底した再調査を行うべきです。裏金づくりの期間も、梶原前知事が就任した一九八九年までさかのぼって調査すべきです。副知事だった森元参院議員は議員を辞職すべきです」


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