2006年9月29日(金)「しんぶん赤旗」
「被害救済の出発点」
大気汚染解決勧告
東京大気汚染訴訟で東京高裁が和解勧告を出した二十八日、「解決勧告」と書かれた幕に、裁判所前は歓声で沸きかえりました。全国から駆けつけた支援者や、原告らは手をとり合って喜び、和解に向けて決意を新たにしました。
「うれしい。提訴から十年余り、ずっと裁判所前に座り込みを続けて、たたかってきました」。原告の一人、小柳聡美さん(27)=東京都北区=の目には涙がありました。五歳のときにぜんそくになり、十七歳で一次訴訟の原告に。「裁判の中で亡くなった仲間も多い。他の原告の葬儀に行ったこともあります。四次訴訟の原告だった祖母も六年ほど前に、ぜんそくの発作で亡くなりました。やっと解決に向けて動き出した。これから、もっとがんばりたいです」
「勝利をめざす実行委員会」の清水鳩子実行委員長は「これで自動車メーカーを交渉の席につかせることができた。メーカーがこれからどのような態度を示すかが問題です。亡くなった人たちのためにも、メーカーの費用負担を含めた被害者救済制度をつくりたい。みんなにありがとうと言われる和解を勝ち取りたい」と決意表明しました。
石川牧子原告団事務局長は、涙で目を赤くして訴えました。「私は和解勧告が出ても喜ばないと決めていました。だけど、それでもうれしい。私たちの訴えは裁判所に届いていた。全員が公平に救われる制度をつくるために、あともう一息がんばりましょう」
結審後、西順司原告団長、鶴見祐策弁護団長らが記者会見し、「勧告を重く受け止めた。きょうを大きな出発点に、早期の抜本的、最終的な解決に向け頑張っていく」と語りました。