2006年9月29日(金)「しんぶん赤旗」

大気汚染の解決勧告

患者と国・企業協議促す

東京高裁


 東京都内の慢性呼吸器疾患患者約六百人が国、都、首都高速道路会社、ディーゼル自動車メーカーなどを相手取った東京大気汚染公害訴訟の控訴審口頭弁論が二十八日、東京高裁で開かれ、結審しました。原田敏章裁判長が和解を勧告し、一九九六年の一次提訴以来十年余に及ぶ公害病患者のたたかいは新しい段階を迎えることになります。

 弁論で原告側は、被告のメーカーの責任について、「窒素酸化物や浮遊粒子状物質など汚染物質を排出するディーゼル車を製造、販売し、汚染物質の有害性が明らかになった七〇年代以降も、ディーゼル車を急増させた責任は重大だ」と批判。行政の責任についても「十分な公害対策を行わないまま、幹線道路を漫然と供給し大量の自動車を走らせた責任は重大だ」と指摘しました。

 西順司原告団長ら原告四人が、「ぜんそくの発作で、横断歩道をはって渡ったり、病院の窓から飛び降りようと思ったこともある」など、健康を奪われ、医療費の増大による生活苦や死の恐怖に苦しんだこと、家族をぜんそくで失った悲しみなどを訴えました。

 国側は「ぜんそくの原因が大気汚染とは限らない」とのべ、メーカー側は「ディーゼル車の増大は利用者が選択したもの」と、自らの責任を認めない態度を取りました。

 原田裁判長は「提訴から相当期間が経過し、亡くなった方も多く、判決のみでは解決できない問題もある。できる限り抜本的、最終的解決をはかりたい」として、和解の可能性や条件、内容について双方の協議を促しました。


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